世界でAIの市場規模が年々拡大している。多くの企業がPoCから商用サービスに移行しており、特にディープラーニング(深層学習)に代表される機械学習を活用したAIソフトウェアが、PCから組み込み機器、FPGAといった多くのデバイスに搭載されている。AI製品を提供する企業にとっては、ソフトウェアと学習データは主要な知的財産であり、企業秘密を保護しながらソフトウェアから利益を生み出す方法を考えなければならない。AI製品のビジネスを進める上で欠かせない技術である、ソフトウェアとデータの暗号化や、ライセンス管理による収益化について考える。
拡大するAI市場。課題はAIソフトウェアの保護と収益化の実現。
AIソフトウェアの市場規模は2025年には1,186億ドルに達すると予想されている。2019年からは現実的に活用される段階に突入していると分析されており、AIソフトウェアは多くの企業で新たなソリューションを提供し、製品に付加価値を与える存在になっている。すでにAIソフトウェアは多くの企業の成長戦略に欠かせない役割を担っているのだ。

そしてAIの技術競争も激化の一歩をたどっている。AIに関する世界の特許出願状況を見ると、2002年頃までは日本と米国が大半を占めていたが、日本の割合は次第に低下しつつある。逆に2011年以降、中国が次第に頭角を現し、日本を遥かに凌ぐほどの勢いが継続している。

「こうした市場動向からAIビジネスを展開するために必要なポイントは2つあります。ひとつはAIソフトウェアの暗号化によるIPプロテクション、もうひとつはライセンシングによるAI製品の収益化です。」と指摘するのは、タレスDIS CPLジャパン株式会社 ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 シニアプリセールスコンサルタント/ビジネス開発部 部長の前田 利幸氏だ。