世界で最も普及しているオープンソースデータベース「MySQL」
システム開発やサービス提供の現場でOSSが果たす役割が大きくなってきた。影響の大きさは、スマートフォン向けサービス開発、ビッグデータ分析、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった近年の取り組みを見渡してもわかるだろう。いまやOSSなくしてはビジネスが成り立たないと言っても過言ではない。

伊藤忠テクノソリューションズ
ビジネス開発事業部
ソリューション開発チーム
ベンダーサポート課 主任
岸 純一氏
メジャーなOSSと言えば、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP/Perl/Python)環境を思い浮かべる人が多いかもしれない。実際これらは米国の巨大サービスベンダーでも採用されるなど、企業システムにおいても非常に実績ある構成だ。
そんなビジネスに欠かせないOSSのなかでも、世界で最も普及しているオープンソースデータベースがMySQLだ。FacebookやTwitter、YouTube、Booking.comといった企業がこぞって採用し、ビジネスの成長を支えてきた。最新版のMySQL 8.0では、従来からのSQLに加えNoSQLも同時に扱えるようになり、JSON対応を強化するなど、活用領域をさらに広げている。
MySQL商用版の国内販売を手がけている伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の岸純一氏は、日本企業にとってもMySQLは重要な存在だと指摘する。
「デジタル変革の取り組みのように、ビジネスをすばやく立ち上げ、スモールスタートで成長させていく必要性が高まっています。また、セキュリティ対策によるユーザーのデータの保護、バックアップの高速化によるメンテナンス時間の短縮なども欠かせません。そうした課題に柔軟に対応できるデータベースシステムとしてMySQLは国内でも高い支持を得ているのです」(岸氏)
「MySQL Enterprise Edition」がもたらす
5つのメリット
MySQLには、無償で利用できるCommunity Edition(以下、コミュニティ版)のほか、企業向け技術サポートが提供される有償のStandard EditionとEnterprise Editionなどがある。特に、企業が抱える課題を解決するための機能を備え、多くの企業の重要システムを支えているのがEnterprise Edition(以下、商用版)だ。
「企業がMySQLを利用したサービスを提供する場合、コミュニティ版では必要とされる品質に対応できないケースがでてきます。例えば、パフォーマンスチューニングや、セキュリティ対策、バックアップ対応、監査対応などです。それらを追加機能で補いつつ、技術サポートを含め長期的なビジネスの成長を支援できるのが商用版です。コミュニティ版からスタートし、ビジネス拡大とともに商用版へ移行するお客様も多数いらっしゃいます」(岸氏)
MySQL商用版のメリットは大きく5つに整理できる。(1) ベンダーサポートの提供、(2) セキュリティ機能の強化、(3) 可用性やバックアップ機能の提供、(4) ベンダー対応による品質保証、(5) GPL v.2によるライセンス制約を受けないことだ。
このうち、 (4) ベンダー対応による品質保証というのは、製品に問題があった場合に開発元のオラクルが修正や改善を担い、製品としての品質を担保することだ。著作権を含む全ての知財を管理しているため、利害関係が発生して修正に遅れがでるという事態も発生しにくい。