DXの実現に向けて
最適なデータ管理のあり方とは?--富士通のSUSE Enterprise Storageソリューション

 DX時代が本格的に到来しつつある。そうした中で求められるハイブリッドなインフラを実現するために、根本的な刷新を迫られているのがストレージだ。クラウドとオンプレミスのそれぞれに完全に分断されている現在のデータ管理のあり方を見直し、SDS(Software Defined Storage)の導入によってデータを統合管理しようという動きが加速しており、企業のインフラ構築を支援するベンダー各社もSDSソリューションの提供に注力し始めている。

 国内最大手のストレージベンダーである富士通も例外ではない。同社はオブジェクトストレージにおけるSDSソリューションとして、オープンソースのCephテクノロジーを基盤とする「SUSE Enterprise Storage」を採用し、ワールドワイドでビジネスを展開し始めている。そんな富士通の取り組みについて同社 Linuxソフトウェア事業部に話を聞いた。

爆発的に増え続けるデータ量の課題

 経済産業省が2018年9月に「DXレポート」を発表してから1年あまりが経過した。この間、同レポートで指摘された「2025年の崖」という危機を煽るフレーズが注目され、多くの企業がDXの取り組みに着手し始めている。

 最終的な目標は、企業システムをマイクロサービスとDevOpsによるクラウドネイティブアプリケーションへと移行することにあるが、当然のことながら「一度に全部」というわけにはいかない。DXの実現に向けたアプリケーションの開発も、それを実行するインフラの構築も、5年後の全面的な移行を目指して段階的に進められているという状況だ。

 特に大きな課題の一つと言えるのがデータ管理のあり方だ。3層構造で構築された従来システムにおいて、ストレージはあくまでもシステムのデータ保管場所に過ぎなかった。しかし、DX時代ではさまざまなシステムのデータを横断的に収集・分析・活用し、新しいビジネスを創出することが求められる。そのため膨大なデータを管理していくには、効率的に管理できるストレージが求められる。

 「DXの広がりにより、企業システムが扱うデータは爆発的に増え続けています。特にIoTシステムの普及、画像や動画など非構造化データの急増により、データ容量を見越して設計していたスケールアップ型の従来ストレージでは、データの保存・管理への課題が残ります」(富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 企画部 マネージャー 松下文男氏)

富士通株式会社 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 企画部 マネージャー 松下文男氏
富士通株式会社
プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 企画部
マネージャー 松下文男氏

 こうした課題を解決するために、最近ではクラウド事業者が提供するストレージサービスにデータを預けるという企業も少なくない。だが、クラウドストレージには別の課題もあるという。

 「クラウドストレージを利用すれば、容量の心配はありません。しかし、データを預けるだけでなく、取り出す際にもコストが発生します。場合によっては、オンプレミスにストレージを追加したほうが安価になることもあります」(富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 サポート技術部 部長 石井宏延氏)

富士通株式会社 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 サポート技術部 部長 石井宏延氏
富士通株式会社
プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 サポート技術部
部長 石井宏延氏

CephベースのSDSソリューションとしてSESを採用

 こうした課題の解決策となるのが、ソフトウェア定義によってストレージを抽象化し、スケールアウト型でデータ容量を拡張していけるSDS(Software Defined Storage)だ。

 「従来型のストレージに対しSDSには、データ容量をフレキシブルに制限なく拡張できるという特徴があります。SDSで仮想的なストレージプールを作っておけば、物理的なハードウェアとストレージ機能を完全に分離できるので、ストレージを止めることなく半永久的に使い続けることができます」(松下氏)

 そんなSDSにはいくつかのソリューションが存在しているが、富士通がオブジェクトストレージのソリューションとして選択したのが「SUSE Enterprise Storage(SES)」だ。なぜ富士通はSESを選んだのか。

富士通株式会社 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 サービス技術部 シニアマネージャー 塩沢賢輔氏
富士通株式会社
プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部
サービス技術部
シニアマネージャー 塩沢賢輔氏

 「富士通は⾧年にわたりストレージ製品を開発してきました。その経験を優れたオープンソース技術の活用にも生かしています。富士通としては、オブジェクトストレージ向けのソリューションに『Ceph』の採用を決めました。」(富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 Linuxソフトウェア事業部 サービス技術部 シニアマネージャー 塩沢賢輔氏)

 塩沢氏は、富士通のエンジニアの立場で長年にわたりオープンソースのコミュニティ活動に取り組んでいる。その中でオープンソースのSDSテクノロジーであるCephの開発にも深く関与してきた。

 「オープンソースのCephならば、ソースコードを見ればすべての機能がわかります。ベンダーロックインを回避し、他社製ハードウェアと組み合わせたマルチベンダー環境にも対応可能です。一方で富士通が不足していると考える機能、例えば運用管理機能やお客様の要件を満たすために必要な機能などを追加できる自由度も備えています」(塩沢氏)

 Cephテクノロジーを採用したSDSソリューションを提供するには、データ管理ツールが必要になる。そのツールとして注目したのが、SUSEのSESだった。

 「富士通は、1990年代からエンタープライズサーバ『PRIMERGY』のOSにSUSE Enterprise Linuxを採用してきた実績があります。Cephについては海外の顧客企業向けに5年以上前から提供しており、知見やノウハウが十分に蓄積されています。そこで富士通のオブジェクトストレージのSDSソリューションとして、CephテクノロジーをベースにしたSESを採用することにしました」(塩沢氏)


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富士通ならではのSDSソリューション開発にも着手

 富士通がSESを採用したことを受け、日本国内で技術支援を行うSUSEの日本法人、SUSEソフトウエアソリューションズジャパンは歓迎の意を表している。

 「富士通は、優れたシステムインテグレーションの技術力をもつベンダーです。SUSEがSESによるSDSビジネスを展開していくにあたり、富士通といっしょに企業のストレージに関する課題解決に対応できるだけでなく、富士通を通じてプラスアルファの価値も提供できるようになったと考えています」(SUSEソフトウエアソリューションズジャパン シニアストレージテクノロジスト 野儀路子氏)

SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社 シニアストレージテクノロジスト 野儀路子氏
SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社
シニアストレージテクノロジスト 野儀路子氏

 富士通とSUSEが狙っているのは、クラウドとオンプレミスのハイブリッドなシステム基盤を構築し、クラウドネイティブアプリケーションへの移行を段階的に進めている企業だ。

 「SESにはさまざまな特徴がありますが、その一つにコンテナ化したアプリケーションのデプロイや管理を行う『Kubernetes』との高い親和性が挙げられます。KubernetesにCephのストレージ機能を統合した『Rook』の登場により、Cephをコンテナ化してKubernetes上で実行・管理することが可能になります。SESは、現行バージョンでtech previewとしていち早く対応しております。」(野儀氏)

 さらに今、富士通が注力しているのが、これからSDSを導入しようという企業向けのスタートアップサービスだ。

 「一般的に、SDSは導入しようという企業に対して個別にソリューションを提供しますが、その方法では時間も労力もかかります。そこで富士通では豊富な構築実績や運用経験を活かし、技術的なコンサルティング、SESによるSDSの導入・構築・運用方法をまとめた手順書、Q&Aなどを提供するスタートアップサービスを用意しました。富士通を通じてSESを導入することで、ソフトウェアとハードウェアをお客様自身が意識する必要なく、運用開始後もワンストップでサポートを受けられるというメリットもあります」(松下氏)

 こうした取り組みを一歩進め、SDSの導入に必要なシステムをパッケージにした富士通の“お墨付き”システム構成をメニュー化することも計画しているという。

大容量データを扱う領域を中心に導入が始まる

 こうしてSDSソリューションの提供を本格化させた富士通だが、海外の企業を中心にすでに導入事例もある。

 「例えば、医療・ヘルスケア領域の事例として、遺伝子・染色体研究分野のゲノム解析に利用されている例や、医療用画像管理システム(PACS)におけるVender Neutral Archive(VNA)として利用されている例があります。ゲノム解析では、場合によって一人あたり1TB以上ものデータ量を保存する必要があり、医療用画像も4K、8Kといった高精細化や動画化が進むことでデータ量の急増が想定されており、従来のストレージでは到底対応しきれません。そうした領域にSDSが導入され、富士通ではSESによるSDSソリューションを提供しています。このほか、大容量データを扱うHPC(High-Performance Computing)分野、膨大なセンサーデータを収集・処理・分析するコネクテッドカー分野などにも導入されています」(石井氏)

※PACS:Picture Archiving and Communication Systems

 日本でもSDSに注目する企業は増える一方であり、富士通のストレージユーザーに限らず多くの企業から問い合わせが殺到しているという。こうした動きに対し、SUSEでも日本国内のSESビジネスを本格化させようとしている。

 「SUSEでは、富士通と共同で日本のお客様が求める要件や構成に合わせたSESソリューションの開発に引き続き取り組んでいます。今後はSDSによってストレージのコモディティ化がさらに進むと予想されるので、SUSEでは特に『信頼性』にこだわってSESの機能強化を図っていきたいと考えています」(野儀氏)

 なお、富士通およびSUSEでは今回紹介したSDSソリューションをそれぞれ特設サイトにて詳しく紹介している。

提供:富士通株式会社/SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年2月29日