開発

DXの最前線から見えるIT部門の疲弊--IT部門をいかに主体的にさせるか

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む現場では、抵抗勢力に直面することになる。その抵抗勢力にはIT部門が加担するケースもあるという。IT部門をいかに主体的にさせるかが課題の一つと指摘される。

 ラックは8月26日、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進力を掘り下げる「日本のDX最前線」と題したウェビナーを開催。セッション3「明日のDX:ユーザー企業、ITベンダーはこれからDXにどう向き合っていくか!?」はパネルディスカッションとなった。

 登壇したのは、『ルポ 日本のDX最前線』を執筆したノンフィクションライターの酒井真弓氏、ラック 代表取締役社長の西本逸郎氏、同社 IT戦略・社内領域担当執行役員 情報最高責任者(CIO) 喜多羅滋夫氏。モデレーターはラック SIS事業領域戦略担当執行役員 最高技術責任者(CTO)倉持浩明氏が務めた。

(左から)モデレーターを務めたラック SIS事業領域担当執行役員 CTO 倉持浩明氏、パネリストとして参加した同社代表取締役社長 西本逸郎氏、ノンフィクションライター 酒井真弓氏、ラック IT戦略・社内DX領域担当執行役員 CIO 喜多羅滋夫氏
(左から)モデレーターを務めたラック SIS事業領域担当執行役員 CTO 倉持浩明氏、パネリストとして参加した同社代表取締役社長 西本逸郎氏、ノンフィクションライター 酒井真弓氏、ラック IT戦略・社内DX領域担当執行役員 CIO 喜多羅滋夫氏

過去の成功体験とDXによる変革が衝突

 口切りに西本氏が「LINE」の国民的普及を例に、企業におけるビジネスチャットの普及率低迷やコラボレーションの浸透具合をDXの課題として提示した。すると酒井氏はDXの定義について、取材を重ねるほどに各企業の方法論が異なり、概念を明示することが難しいと吐露する。

 その上で「定まっていないからこそ、多様なアプローチでクリエイティブに考えるとよい。自分たちが抱えている課題と自由に向き合うチャンス」だと意味付けた。

 モデレーターがDXの現場で発生しがちな“抵抗感”について尋ねると、喜多羅氏は、それまで現場が従来の方法で得てきた成功体験と、DXによる変革が衝突することだと指摘する。

 「あたかも何でも知っているかのごとく『ここは変革しよう』みたいな感じで(言うと)『お前、何がわかってんねん』となってしまう」(喜多羅氏)

 だからこそ、現場自身が感じている“心の底で感じている改善の余地”を取り出すか、“一緒に組んで「その先に行ける」とベタな話をする”方法を提示した。

 モデレーターがツールの社内浸透は企業文化が背景にあり、経営層やIT部門の意図通りに進まない点を課題に挙げると、喜多羅氏と酒井氏は以下のように具体的な対応策を提示した。

 「事業部門の方々は自分のメリットになるのであれば、素直に聞き入れる。繰り返しになるが、対立構造が生まれている。違う切り口でアプローチすれば、(導入を)否定しにくくなる」(喜多羅氏)

 「取材した範囲ではトップが号令を出し、自ら率先して使い出すケースが多い。たとえば、ある組織の理事長は『自分はSlackしか使わない』と宣言してメール連絡を断った。上下関係が明確な組織なら効果的だ」(酒井氏)

 西本氏も経営者としての立場で「Microsoft Teamsに変更したことでメールの誤送信が減った。顧客連絡のみメールを使用している。早く導入すればよかった」と効果を語った。

 酒井氏の『ルポ 日本のDX最前線』でも触れられたIT部門の疲弊と主体性の回復について尋ねると、喜多羅氏は次のように回答した。

 「IT部門は会社に貢献している実感がなく、作業をこなすことが自分の成績だと思い込んでいる。そこで(IT部門の活動が)会社の利益につながっているというストーリーをマッピングした。たとえば資材管理システムを扱っている人はツールの話はできるけど、どう管理すればコストダウンにつながるかという視点を持っていない。『それは資材部の仕事』となってしまう。そこで自分たちの活動を事業に連動させることを意識させると主体的になる」

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