IoT

エッジコンピューティングの定義をめぐる混乱--Forresterが示す4つの分類

「エッジ」製品は多数の企業が提供しているが、その定義はベンダーによって異なる。Forresterのレポートでは、エッジを4つに分類しているものの、明確な区別はないとされている。

 ForresterNowのレポート「The Four Edges of Edge Computing」によると、エッジコンピューティングには4つのタイプがあるが、それらに厳格な区別はないという。また、ベンダーのエッジという用語の使い方が原因で、そのわずかな違いを判別するのが難しくなっている。

 「アナリストとしては、明確な線引きをしたいところだが、実際の現実はもっと雑然としている」。こう語るのは、Forresterの新興技術ポートフォリオ担当バイスプレジデントで、同レポートを執筆したBrian Hopkins氏だ。「エッジについては、ネットワークの厳密な物理的区分ではなく、関連するソリューションの幅広いカテゴリーと考えるのがいいだろう。これらのカテゴリーには共通点があるため、さまざまなベンダーの関心を引いている。エッジという用語の意味がベンダーによって異なるので、私はいつもクライアントに説明しなければならない。4つのエッジは、そうした状況への対応だ」

 たとえば、コロケーションベンダーのEquinixがエッジという用語で表しているのは、さまざまなコロケーションデータセンターで実行される分散型エンタープライズワークロードだ、とHopkins氏は述べた。一方、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)ベンダーのSiemensは、産業用製造スペースに設置されたサーバー上で実行するソフトウェアと分析という意味で、エッジという用語を使う。

 「この2つのシナリオは、どちらも『エッジ』という用語を使っているが、大きく異なるものであり、別のベンダーソリューションによってサービスが提供されている」とHopkins氏は語る。

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 同レポートが定義するエッジとは、「企業の主要なIT資産から物理的に分離しているが、共有のファイバーネットワークやワイヤレスネットワークによって主要IT資産に接続されているインフラストラクチャーとソフトウェア」だ。レポートでは4種類のエッジコンピューティングが説明されており、それぞれ「エンタープライズ」「運用」「エンゲージメント」「プロバイダー」という特定のニッチに対応している。

 エンタープライズエッジは、ワイドエリアネットワーク(WAN)で接続された第2層と第3層のデータセンター、クラウドゲートウェイ、コロケーション施設、オフィススペースで構成される。エンタープライズエッジの目標は、エンタープライズインフラストラクチャー、WANおよびパブリッククラウドベンダーを通じて、中核的なコンピューティングネットワークを拡張できるようにすることだ。典型的なユースケースには、オフィスオートメーション、スマートビルディング、Eコマースなどがある。

 運用エッジは、IoTネットワークおよびデバイス、ローカルのコンピューティング資産、ゲートウェイで構成される。これらのエッジネットワークは、小売店、支店、製造施設、倉庫、貯蔵施設、加工場など、拡張された場所でのオンサイトプロセスの自動化に役立つ。典型的なユースケースは、産業オートメーション、スマートシティの機能とサービス、物流、体験スペースの実現などだ。

 エンゲージメントエッジは、応答時間の短縮によって顧客エンゲージメントの向上を図る、世界規模で分散されたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)クラスターと定義される。これらのPoint Of Presence(POP)ネットワークは、データや情報を物理的に消費地点の近くに配置することで、顧客をデータや情報に迅速に接続する。典型的なユースケースには、ストリーミング、ゲーム、ゼロトラストセキュリティ、スマートホームの機能とサービスなどがある。

 プロバイダーエッジは、通信事業者が所有するインフラストラクチャーとソフトウェアで構成される。これらの「エッジクラウド」は通信事業者によって設計され、エンドユーザーの近くではあるが事業者のネットワーク内において、Infrastructure as a Service(IaaS)や5Gを可能にする。顧客は事業者のコンピューティングリソースとストレージリソースを使用して、他の3種類のエッジをサポートするソフトウェアを自動化する。最終的に、これらのエッジクラウドは運用エッジとエンゲージメントエッジの機能とデータをホストできるようになるだろう。典型的なユースケースには、エッジクラウドやプライベート5Gセルラーネットワークなどがある。

 エッジはさまざまなユースケース向けに作られているが、突き詰めていくと、コンピューティング機能を提供するだけなので、多様なシナリオで使用可能だ。これが混乱の原因にもなっている、とHopkins氏は述べた。1つのコードを必要に応じて異なるエッジで実行できる。たとえば、一部の企業では、機器予測分析のデータ処理といったIoTタイプのワークロードが、作業現場に設置されたエッジサーバーではなく、エンゲージメントエッジのコンピューティングクラスターで実行されている、とHopkins氏は語る。これは、エンゲージメントエッジと運用エッジに重複する部分があることを示している。

 2つ目の重複が発生するのは、基盤のインフラストラクチャーのベンダーが、多くのエッジで実行されるコンピューティング、ストレージ、ネットワーキング、ソフトウェアを販売している場合だ。たとえばHPEは、運用エッジ、プロバイダーエッジ、エンタープライズエッジで実行可能なサーバーを提供している。

 最後に、Edge as a Serviceを提供するベンダーもある。そうしたベンダーはコンピューティングスタック全体を所有しているため、顧客は購入するサービスのみに基づいて料金を支払う。

 「Edge as a Serviceも、ベンダーによって認識が異なるマーケティング用語だ」とHopkins氏。「したがって、それを無視して、提供されるソリューションの現実に目を向けるよう顧客に提案したい。すなわち、どんな問題を解決してくれるのか、必要なハードウェア、ネットワーク、ソフトウェア資産のセットはどのようなものか、といったことだ」

提供:iStock/chombosan
提供:iStock/chombosan

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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