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ファクスで1日10往復--完全アナログ業務を一気にデジタル化したデパ地下店舗の秘策

食品小売業の大彦は、店舗や仕入先、本社とのやり取りをファクスで回していたが、作業量が大きすぎることから業務フローを見直すとともに、業務全体のデジタル化を進めた。

デパ地下に店舗を展開している(出典:大彦) デパ地下に店舗を展開している(出典:大彦)
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 大彦(名古屋市、従業員数30人)は、1786年(天明6年)に創業した水産加工品販売の老舗である。卸売業を経て現在は干物や切り身、珍味などを販売する食品小売業を営み、高島屋、三越、名鉄百貨店など東海地区の大手百貨店、いわゆる“デパ地下”に6つの店舗を展開している。

ファクスのやり取りを1店舗だけでも1日10往復

 大彦では、2016年に7代目となる山上智之氏が社長に就任し、社内の構造改革に着手した。一つ目は、コア業務への注力。売上比率が落ちていた卸売業と飲食業をいったん畳み、食品小売業をメインに据えた。そして、並行して取り組んだのが業務改善である。

大彦 山上氏
大彦 山上氏

 同社では、各店舗で働くスタッフのほか、本社の事務所で2人の社員が経理から労務、店舗の販促物の作成、営業、店舗間での連絡などの業務を一手に担っている。リソースも限られていたうえITに詳しい社員もおらず、業務フローも非効率だったと山上氏はいう。

 「元々業務運営の仕方がアナログで、電話とファクス、紙ベースで業務が動いていました。会計や販売管理のシステムも活用していましたが、紙で回ってきたデータをPCに手入力するという形で手間がかかるうえ、本社と店舗間の情報伝達にも時間がかかっていたのです。それらをスムーズにするために、IT環境の刷新を決めました」(山上氏)

 当時のフローは、まず仕入れの際に、店舗から取引先のメーカーに対し手書きのファクスで発注し、同じくその都度、本社にも何をどれくらい注文したかを手書きのファクスで送信。本社でファクス内容をPCからシステムへ手入力しておき、発注先のメーカーからファクスで返信を受けた際に入力した画面と突き合わせて確認するという作業が発生していた。

 そのほかにも各店舗が売上表にその日の売り上げを記入して本部に毎日ファクスを送信しており、ファクスのやり取りは1店舗だけで1日10往復くらいあったという。

 また、ルーティンワークとなっていたデータ入力作業のなかには、既に当時の業態に合わなくなっていたシステムを動かすための、実質無駄なものもあったという。山上氏は、「本社スタッフ側にかなりの作業量があり、社内をデジタル変革しないと仕事が回らない状態でした」と当時の状況を説明する。

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パッケージの併用で年間280万円のITコストを削減

 そこで山上氏は、まず内部に対しては店長会議の場で損益計算書(P/L)を開示し、社内にどれだけコストや業務の無駄があるかということを話し合い、それを削減するために社内情報システムの刷新およびデジタル活用に対する理解を得た。一方で、従来のシステムの保守にもコストがかさんでいたこともあり、以前から付き合いがあった寿商会(石川県金沢市)で代表取締役社長を務める若林孝氏に、システム構築を打診した。

寿商会 若林氏
寿商会 若林氏

 山上氏から相談を受けた若林氏は、「色々と業務が煩雑で紙ばかりだから何とかしたいと。言葉は一言だが中身は壮大な内容でした」と苦笑する。

 それまで大彦では独自開発のシステムを活用していたが、それを刷新して「Claris FileMaker」をベースに新しい基幹業務システムを開発することにした。

 「FileMakerだけで開発することも可能でしたが、それでは時間もお金もかかってしまいます。そこで、FileMakerをベースにパッケージを使えるところはパッケージを活用し、業務をペーパーレス化するシステムを構築しました」(若林氏)

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