人事・労務

問われる企業と従業員の信頼関係--在宅勤務者への監視ソフト利用

監視ソフトウェアを使って日中の従業員の行動を追跡する企業が増える中、管理職はこうした戦略のメリットとリスクを比較検討する必要がある。

 監視ソフトウェアを使って日中の従業員の行動を追跡する企業が増える中、管理職はこうした戦略のメリットとリスクを比較検討する必要がある。行動追跡は、誰が何をしているかを追い続けるために、「歩き回って管理する」ことができない管理職にとって心強いものかもしれない。こうしたプラットフォームの欠点は、企業と従業員の間の信頼関係が損なわれるリスクがあることだ。

 Gartnerの職場および従業員問題調査担当バイスプレジデントのHelen Poitevin氏は、パンデミックを通して従業員監視技術への関心が大きく高まっていることを認識しており、ハイブリッドな職場環境が出現するにつれ、この関心は高まり続けると予想している。同氏は、企業がこうしたツールを導入する理由は2つあると言う:

  • 従業員が働いていることへの信頼感の欠如
  • 従業員が働きすぎたり、孤立したりすることなく、効果的で生産性の高い仕事ができるようにする必要性

 Poitevin氏は、人々が働いていることを確認するためにこうしたツールを導入する組織は、信頼を損ない続けることになると言う。

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 「収集したデータの目的や利用法が従業員に明確に示されていれば、従業員体験やウェルビーイングを改善する目的でデータを利用している人は、こうしたツールに価値を見出すことができるかもしれない」(Poitevin氏)

 米ZDNetでOwen Hughes記者が報じたように、YouGovが2020年に実施した調査では、従業員の3分の2が、自宅で仕事をしているときに雇用主がスクリーンショットやキーストロークなどの情報を記録することに抵抗を感じていることが分かった。このような監視は、特に欧州一般データ保護規則(GDPR)の対象となる企業にとっては、プライバシーにも関係してくる。

 Poitevin氏によれば、働いている時間と働いていない時間を把握するだけの監視では、確実に信頼を失い、その方法に伴うリスクはメリットをはるかに上回るという。企業が監視を行う目的が、従業員体験やウェルビーイングを改善することであれば、従業員の労働パターンに関する広範なデータを収集することに内在するリスクに見合うだけのメリットがあるかもしれない。

 Poitevin氏は、仕事の活動に対する主観的な見方や意見を収集するアンケートや、活動ではなく成果に焦点を当てた業績フィードバックのその他の手法に加えて、監視を活用することが重要だと述べている。

 「このような監視に対する従業員の意識を測定することも同じく重要で、そのような意識は年齢層や職能、地域によって異なる可能性があるためだ」(Poitevin氏)

AIを生産性のコーチとして活用する

 enaibleの設立者で最高経営責任者(CEO)のTommy Weir氏は、同社のプラットフォームが人工知能(AI)を用いて、特定のタスクに理想的な時間を推奨すると述べている。enaibleは、SAP、Oracle、Salesforce、Slackといった個人の業務に最も関連性のあるソフトウェアの活動を追跡する。

 「このプラットフォームは人々の働き方を学習し、その人の役割に基づいて、従業員や管理者に対して提言をする」(Weir氏)

 Weir氏によると、このソフトウェアは労働者の行動を分析し、会議と比較して、執筆などの集中作業に適した時間を提案してくれるという。

 「午後に集中した時間がある場合、午前中に執筆したときよりも1分当たりの執筆文字数が多くなり、編集の必要性も少なくなるという分析結果が出たとする」とWeir氏。「すると、午後に集中する時間を確保できるよう、会議を午前中に動かすよう推奨される可能性がある」(同氏)

 Weir氏は、こうした推奨事項は、コンテキストスイッチを減らし、知識労働者がより多くの集中した時間を確保できるようにするためのものだと述べている。

 こうしたツールの利点の1つは、再び新たなアンケートを送る必要なく、プラットフォームが従業員体験に関する追加データを収集できることだ。

 「このことは、特にテクノロジーを多用し、勤務時間の大部分で明確なデジタルフットプリントを残している知識労働者に適している」とPoitevin氏は述べている。

 Weir氏は、監視ソフトウェアは、忙しそうに見せるために会議の予定を入れるなど、間違った行動を助長する可能性があると語る。そのため、enaibleの個々に合わせた提言は、従業員には直接届くが、管理者には匿名化されたバージョンが届くようになっている。

 管理者は、事務処理に追われることなく、チームが販売に費やした時間の合計といったシステムからの集計報告を見ることができる。

 「反復的な社内業務から解放され、報告書の作成や会議への出席など、時間を食う作業を特定することが目標だ」(Weir氏)

 Poitevin氏は、AIを使った監視ツールは、デジタルチャネルを通して仕事を行う知識労働者、特にクレーム処理やカスタマーコンタクトセンターの仕事のように、比較的型通りの仕事をしている人に適していると言う。

 同氏は、クラウドオフィスツールの時間管理に関する推奨事項についての事例的なフィードバックは多くの場合、ほとんど関連性のない推奨をしてくると述べている。

 「これは多くの場合、こうしたツールが特定の環境下で起こる活動についての洞察しか得られないことと関連しているものと思われる」とPoitevin氏。「従業員の活動を全て把握できるツールはない」(同氏)

提供:Shutterstock/ASDF_Media
提供:Shutterstock/ASDF_Media

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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