ノンプログラミング開発ツール

「デジタルの民主化」の勘所--部分最適に陥らない、過去の失敗を繰り返さない

「デジタルの民主化」の意味について考察し、ノーコード/ローコードの活用にはどんな意味があり、経営者、事業部門、ITプロフェッショナルはそれぞれどう捉えれば良いのだろうか。

業務の部分最適、アプリ乱立への不安

 現場が自らデジタル化を進めることの弊害として、業務の部分最適化やメンテナンスできないアプリの乱立が起きるのではないかという指摘がある。

 確かに、同じような課題を複数の部門がそれぞれで別の方法で解決に取り組むようなことがあってはならない。

 SmartDBのユーザーの中には、「業務デザイナー」という名称などで役割を明確化したり、情報システム部門がハブとなってデジタル化の取り組みをコーディネートする過程で情報を流したりすることで、個別最適に陥らないような工夫をしている。

 アプリが複雑化しメンテナンス不能に陥る状態への不安ももっともだ。特に過去にエンドユーザーコンピューティング(EUC)が可能なデータベース製品を利用していて、メンテナンス不能なデータベースが乱立してしまった経験を持つ企業ではデジタルの民主化にアレルギーがあるだろう。

 過去のEUCでは、製品自体の機能に問題があり、標準で実現できることの範囲が少なく、プログラミング言語によるカスタマイズでできることの範囲が広すぎたため、どうしても現場の業務ニーズを満たすためにプログラミング言語で開発しすぎてしまうのである。

 しかも、プログラミングの方法は原始的で、ユーザーインターフェース(UI)での操作と、データ層を分離することもなく、外部のアプリケーションとの連携も考慮していないという、いわゆるスパゲッティプログラムを生みやすい構造であった。メンテナンスできなくなるのも当然だ。

 現代のノーコードツールは、標準でできることの範囲が大幅に拡大し、プログラミングではなく設定によってあらゆる業務ニーズに対応できるようにデザインされている。そもそも開発というステップがなく、メンテナンスできなくなる心配も存在しない。

ノーコード/ローコードの今後

 業務のデジタル化への取り組みは、DX機運の高まりと、テレワークの普及によって今までにない速度で進展している。それに伴いノーコード/ローコードツールにも脚光があたるようになった。現在のところノーコード/ローコードの4つのタイプを理解し、自社のニーズに最適なツールを選定し、現場の業務部門で自らがデジタル化を推進する「デジタルの民主化」を達成できている企業は少数派かもしれないが、今後は加速度的に普及していくことが予想される。

 ノーコードツールの側も、多くのユーザーで使われるようになり、その機能、操作性、スケーラビリティもどんどん改善されていくだろう。

 利用する企業の側では、ノーコードを使って業務をデジタル化できる業務デザイナー人材をどのように増やすのか、教育研修制度の拡充、社内ヘルプデスクの整備などに取り組まなければならない。

 デジタルの民主化によって、情報システム部門の役割は現場ニーズにあったアプリケーションを開発して保守する部門から、DXを実現する戦略部門へとようやく変革できるのである。

石田 健亮(いしだ けんすけ)
ドリーム・アーツ 取締役執行役員 CTO

1998年、東京大学工学部機械情報工学科卒。東京大学大学院在学中の2000年4月にドリーム・アーツに入社。製品開発部長を経て、新規事業推進室にて現在3万9000店舗以上に利用されている「Shopらん」の企画開発を手がける。2015年1月、最高技術責任者に就任。「ものづくりの力」を強化すべくエンジニアの育成にも注力している。

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