人事・労務

従業員のオフィス復帰--変わった仕事のルール

調査によると、リモートワーカーの3人に1人はフルタイムでオフィスに戻るように言われれば、辞めてしまう可能性があるという。従業員のニーズと企業のニーズを考慮したバランスの取れたアプローチが、従業員を確保しつつ、組織を前進させるための最も賢明な方法だと言えそうだ。

 自宅で仕事をすることは、かつて、9時~5時まで机に向かってせっせと働くオフィス勤務者の間では憧れの特権だったが、この14カ月余りの間、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という昔からの格言を人々に思い知らせている。

 今では私たちの多くが切望するものとして同僚との直接的な交流がある(刺激のない自宅作業場からの風景の変化については言うまでもない)一方で、従業員たちは古い働き方はもう終わりだということをはっきりと示している。

 例えば、Robert Halfが最近実施した調査では、リモートワーカーの3人に1人はフルタイムでオフィスに戻るように言われれば、辞めてしまう可能性があるという結果が出ている。パンデミック時のリモートワークは非常に退屈だったかもしれないが、従業員がより広い意味での柔軟性を求めていることは明らかだ。

 このような結果は同調査に限ったものではない。LiveCareerやビジネスパーソン向けネットワークBlindの調査でも、復職に対する同様の態度が明らかになっており、約3分の1の労働者はリモートワークを断念せざるを得なくなったら転職すると述べている。こうした調査結果は明らかに偶然ではなく、自分はよく分かっていると思っている経営陣も、恐らくそうではないだろう。

 労働者にとっての良いニュースは、仕事に対する新たな期待が、雇用主と従業員の関係のバランスの変化を反映していることだ。

 これまで、従業員はどこでいつ働くかについて、給料を払ってくれる人の言いなりになっていた。しかしスキルを持つ労働者、特に開発者やIT専門家は、今やリモートワークを自分のキャリアの中で最も必要なものの1つとして挙げており、そうした労働者はパンデミック後の雇用市場で、はるかに大きな影響力を持つことになるという証拠が増えつつある。

 2020年の出来事が無防備な世界に広がる前から、技術者に対する需要はすでに高かった。しかし、その後の急速な業界を超えたデジタル化によって、企業は崩壊しそうな経済の頂点にとどまろうと躍起になり、ITスキルは砂金のようなものになった。2020年までに急速かつ反射的なデジタル変革が起きた後、IT責任者たちは長期的な投資と2021年以降の微調整の期間を見据えており、技術者は市場で最も求められる人材になるだろう。

 採用担当者はすでに危機感を抱いている。1月に実施された調査では、ソフトウェア開発者やその他のIT専門家を確保することは、技能に対する需要が高いため、2021年には採用責任者にとって最大の課題になることが分かった。これに加え、迫りくる技術的スキルの危機を示すデータもあり、見通しはますます絶望的になっている。

 この問題は、一部の人が考えている以上に差し迫ったものなのかもしれない。燃え尽き症候群や不満、意欲の低下で泥沼化した1年を経て、従業員は気まぐれになっている。Personioが5月に公表した調査結果によると、労働者の38%が向こう6~12カ月間のうちに転職することを計画しており、この数字は技術者やIT専門家の間では58%にも上っているという。

 この数字を信じるならば、多くの企業がデジタル変革プログラムに多額の投資を行っている今、技術系人材の流出を防ぐために雇用主は何をすべきかを割り出す必要がある。テクノロジー業界の優秀な人材を引き付けて離さないためには、この1年間にデジタルロードマップで達成した成果を維持することはもちろんのこと、古いやり方を捨て、2021年の最大の流行語である「ハイブリッド」を受け入れなければならない。

 一見すると、ハイブリッド方式は1週間のうち2~3日はリモートで働き、残りの日はオフィスや職場で仕事をする自由を組み合わせ、両方の長所を請け合っている。

 私たちは、職場は同僚とつながり、何らかの理由で自宅ではできない仕事をこなせる空間として労働者が価値を置いているのを見てきた。他方で、在宅勤務が可能であれば、従業員は生活と仕事を両立させる柔軟性を得られるだけでなく、毎日の、そして多くの場合費用のかかるオフィスへの通勤をしなくて済むことも私たちは認識している。

 つまり、従業員のニーズと企業のニーズを考慮したバランスの取れたアプローチが、従業員を確保しつつ、組織を前進させるための最も賢明な方法だと言えそうだ。

 ハイブリッドへの移行は賭けのようなものかもしれないが、仕事の大規模な再構築によって最大の負け組となるのは、過去1年間の教訓を受け入れようとしない組織であろう。そういった組織は、従業員がより幸せで柔軟な働き方に移行する機会を拒否しているだけでなく、自らを失敗するように仕向けているのだ。自社の従業員をこれほど理解していないとしたら、顧客を理解することなど、どうして期待できるだろうか?

 きちんと仕事をこなすためには、昔のやり方に戻るしかないと考えている経営陣への質問は単純だ。従業員を引きとめるために、代わりに何をするのか?なぜなら、自由や幸福、仕事と生活のバランスが最も価値のある商品となった1年が過ぎた今、給料の増額やオフィスのビリヤード台では、もはやそれに対処できないかもしれないからだ。

技術者に対する需要は急増しているが、英国の労働者の多くは基本的なデジタルスキルすら持ち合わせていない。</br>
提供:Dimitri Otis/Getty Images
技術者に対する需要は急増しているが、英国の労働者の多くは基本的なデジタルスキルすら持ち合わせていない。
提供:Dimitri Otis/Getty Images

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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