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kintoneの導入はゴールではなく業務改善のスタート

さまざまな課題を解決すべくシステムを導入したものの成果が上がらない、というケースは多く存在する。「kintone」を題材に、どこに課題があるかを考察する。

トップダウンかボトムアップか--kintone浸透のコツは

 おかげさまで「kintoneの導入を考えている」という相談を本当にたくさんいただきます。相談にいらっしゃる方の目的や課題意識などの表現に微差はあれど、“不便な現状をどうにか打破したい”という想いは概ね共通しています。

 ただ、相談者の立場はもちろんバラバラです。社長を含む経営幹部、各部門を束ねる部門長クラス、業務の最前線を走る現場担当者など…。

 ここで筆者が相談を伺う際に重要視しているのは、業務改善に取り組む意識に社内で差がないかどうかです。例えばこんなことがありました。

 とある会社の社長から、「業務改善にkintoneを導入したいので話を聞きたい」と相談がありました。

 まずはお話を聞くためにウェブ会議をセッティングし、当日を迎えました。先方からは社長さんと現場の業務担当者が複数人ご参加されています。
社長の進行に沿って、筆者はkintoneによる業務改善の概要や事例の説明を進めていきましたが、どうも様子がおかしい。

 なんと、現場の業務担当者は何の打ち合わせか一切聞かされていなかったのです。そして打ち合わせの場で初めて“kintoneによる業務改善”という話を耳にしたわけです。

 社長は「大変そうだから業務改善しないと。kintoneを導入しようと思い、皆に参加してもらった」という想いを口にされますが、現場の業務担当者にとっては寝耳に水です。

 現場の業務担当者も困り果てたのか、「いきなり言われても困る。そもそも社長は現状の業務のどこにどんな課題があるかご存知ですか?」――なんと、社内で言い争いになってしまいました。筆者は聞いているしかできません。

 この後は社内で再考するということで収まりを得ましたが、一方的なトップダウンだけでは業務改善は具体的な取り組みへ至るまでに時間を要するのです。

 逆もまた然りです。

 現場の業務担当者がkintoneに魅力を感じるも決裁者に理解されず、導入を許可してくれないという相談も多くいただきます。そもそも会社という組織において、社内システムの導入をシステム部門以外の現場担当者がボトムアップで申請することはそう多くありません。無償サービスでどうにかしなさい、と突き返されてしまうわけです。

 これはもはやkintoneに限りませんが、適用が全社であっても部門であっても、業務改善の必要性と手段選定の共通認識をボトムアップ+トップダウンの組み合わせで取り組まないと、スピード感のあるシステム導入や活用の浸透は生まれません。

 また、この共通認識には、既述である“導入の目的”を明確にしておくべきことは言うまでもありません。

kintone導入はスタート地点に過ぎない

 冒頭に記載した通り、導入事例や具体的なノウハウといったkintoneに関する情報は、数年前と比べて圧倒的に増えました。自社に適用できる事例も、ちょっと探せばすぐに見つかることでしょう。

 ただし、どの事例もそのままコピーするだけでは使えません。自社のために多少の手を加える必要があります。それが項目名の変更程度であったとしても、です。

 また、組織は人で成り立っている以上、同じやり方はいつまでも通用しません。業務改善の手段であるkintoneは、本稼働後も育て続けていく必要があります。

 kintoneはスモールスタート可能であることが大きな利点ですが、これは現場の細かい要望に合わせて、まるで水のように現場に自然と馴染む仕組みに育て上げていけるということです。

  • なぜ業務改善をする必要があるか
  • なぜkintoneか
  • 本当の目的は何なのか
  • kintoneで業務改善に取り組んだ先には何があるか

 この答えすらも変わり続けていくことでしょう。

 kintoneの導入はゴールではなく業務改善のスタートであり、進化を止めない先には自己実現の未来が待っています。諦めずにチャレンジし続けましょう。

(第12回は7月中旬にて掲載予定)

峠 健太郎(とうげ けんたろう)
MOVED シニアマネージャー
rebootbiz代表
富士通システムズ・ウエスト(現:富士通)を経て京都府の急性期病院に転職。2019年にMOVEDにジョインして病院との複業を開始。2020年7月から現職専業に。業務の仕組みだけでなくスタッフの働き方まで焦点を当てた業務改善を働き方デザインとして全国の企業成長をサポートしている。

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