人事・労務

リモート勤務でのパフォーマンス向上--「オフィス中心の慣行」の持ち込みは逆効果

リモートで勤務する従業員のパフォーマンス向上を考えた場合、「オフィス中心の慣行」を模倣するのは逆効果だという。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行によって多くの労働者がリモートやハイブリッドに移行したとき、多くの組織は、人と人との接触がなくなることで従業員の心身の幸福が阻害され、生産性が低下し、企業文化が全体的に弱体化するのではないかと懸念した。

 Gartnerの新たな報告書によると、こうした懸念への対応は、大抵の場合、「現場での作業の仮想化、監視システムの追加、会議の増加」というように、「オフィス中心の慣行」を模倣したものだという。

 「Redesigning Work for the Hybrid World」(ハイブリッドの世界に向けた再設計)と題するGartnerの報告書によると、こうしたことを実行しても士気の向上にはつながらず、実際には従業員の疲労感を悪化させることが多いという結果が出た。このような状況に対処するため、Gartnerは「人間中心のモデル」と呼ぶものを提案している。

編集部おすすめの関連記事

 Gartnerは2021年1月、2400人以上の知識労働者を対象に、ハイブリッドワークまたはリモートワークの状況について調査を実施した。Gartnerによると、例えば追跡システムを使用すると、労働者が仕事をしているふりをする可能性が約2倍になるほか、「常時接続」感を悪化させてしまうことが調査から明らかになったという。そしてその結果として、疲労感を増すこととなった。

 Gartnerはまた、労働者が疲労困憊に達すると、パフォーマンスが最大33%低下し、一体感が最大44%も激減し、このような状況のせいで組織にとどまる可能性は54%低くなると指摘する。

 同社はさらに、ハイブリッドまたはリモートで現在働いている従業員のうち、選択の余地があれば完全に現場に戻りたいと考えている割合はわずか4%に過ぎないことが調査から明らかになったとしている。Gartnerによると、従業員を現場環境に戻すと、組織は最大で39%の人材を失うことになるという。

 「異なる環境のために作られたデザインを無理に適合させることによって疲労は増幅し、疲労は多くの人材の業績に影響を与える」とGartnerのHR慣行担当ディレクターAlexia Cambon氏はプレスリリースで述べている。「従業員が高い水準の疲労を感じると、従業員のパフォーマンスは最大33%低下し、一体感は最大44%低下し、従業員がその雇用主にとどまる可能性は最大54%低くなる」

 このような状況に立ち向かうため、Gartnerは企業にハイブリッドワークモデルを採用するよう勧めている。同社は特に、従業員が「いつ、どこで、どのように働くかを選択」できるような、従業員主導の柔軟性を提供するよう組織に助言している。このような方針を成功させるためには、「雇用主は柔軟な働き方を例外ではなく既定とし、柔軟な働き方に関する方針ではなく原則を策定することで、柔軟な働き方は悪いことではないとすべきだ」とGartnerは言う。同社はまた、柔軟性を持たせることで、従業員のパフォーマンスが3倍に跳ね上がることもあることが調査から明らかになったと主張している。

 同社はさらに、ハイブリッド環境で働く従業員に対して、経営陣は共感に基づくアプローチを選ぶべきだと提案している。報告書は、「人事責任者の89%が、ハイブリッド環境では管理職は共感を持って指揮しなければならないことに同意している一方で、Gartnerの調査では、共感に基づく管理を可能にするための管理職に対する組織的な投資が不足していることが明らかになった」としている。

 例えば、報告書によると、「今日のハイブリッドワークモデルでは、管理職の多くが自分の責任が重過ぎると感じていることに68%の人事責任者が同意しているものの、責任を軽減するために管理職の役割設計を変更した組織はわずか14%にとどまっていた」という。

 これに対しGartnerは、経営陣の共感の考えが、「入力によるパフォーマンスから成果によるパフォーマンスへ」と方向転換する必要があると提言している。しかし、管理職は負担が重いことが多く、過労状態にあるため、人事部は「共感に対する3つの共通の障壁である技能、考え方、能力を克服することに焦点を当てた全体的な戦略」で対応する必要があると分析している。

 Gartnerは最後に、組織は「意図的なコラボレーション」を可能にすべきだと提案している。COVID前は、企業は「オフィス中心のデザイン」を、イノベーションにつながることの多い「偶発的な『休憩所での雑談』」への出発点と見なしていたと同社は述べている。調査によると、この考えは、従業員がオフィスに戻るべき理由として企業が挙げている主な基準点となっているという。Gartnerはさらに、人事部の従業員は「イノベーションを推進するためには、同期型の仕事(個人が対面、オンラインに関わらず一緒に仕事をすること)が最も重要だと考えている」ことを調査は示していると述べている。しかし、同社はこの見解を否定し、データによると「非同期型の仕事」もチームのイノベーションを目指す上で同様に重要だと主張する。

 「意図的なコラボレーションは、場所だけでなく費やす時間にも焦点を当てたあらゆる働き方へのアクセスを民主化し、事業と従業員の両方のニーズを包括する」とCambon氏は述べている。「進歩的な組織は偶然のイノベーションより、計画的なイノベーションを信頼している。意図的なコラボレーションが高い水準で行われている組織の従業員のうち75%が、チームのイノベーションも高い水準で行われていると報告している」

提供:iStock/poike
提供:iStock/poike

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

「人事・労務」で読まれている記事

TechRepublic Japanで人気の記事

編集部オススメ

トレンドまるわかり![PR]

財務・経理
人事・労務
人事評価
人材管理
人材採用
給与計算
給与明細配信
勤怠管理・労務管理
eラーニング
マイナンバー
マーケ・営業
購買・調達
生産・製造
データ分析
コミュニケーション
通信・通話
文書・コンテンツ
PC・モバイル
新興技術
ITインフラ
クラウドサービス
OS・ミドルウェア
開発
データベース
運用
セキュリティ

ホワイトペーパーランキング

  1. IT部門責任者が理解すべき「コンテナとKubernetes」の基礎を網羅
  2. Zoomなどオンライン商談による「ちょっとだけ打ち合わせ」の威力とは?新しい売り方の教科書が登場!
  3. データ活用のためのハイブリッドクラウド基盤構築-データプラットフォームに求められる12の要件
  4. 脱パスワード 不便と不安を取り除くSSO-メリットと導入方法、ADやM365との連携を解説
  5. 事例:9割の業務の段取りを効率化、個人スキル依存から脱却したDFE社のタスク管理改善術

Follow TechRepublic Japan

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]