AI・機械学習

AIは「1.0」から「2.0」へ--5つの技術による移行

人工知能(AI)プラットフォームの導入において、多くの企業はまだ初期段階にあるが、アーリーアダプターは「AI 2.0」へと移行しつつあるという。

 人工知能(AI)プラットフォームの導入において、多くの企業はまだ初期段階にあるが、アーリーアダプターは「AI 2.0」へと移行しつつある。「AI 2.0: Upgrade Your Enterprise With Five Next-Generation AI Advances」(AI 2.0:5つの次世代AIの進歩で企業をアップグレードする)と題するForresterが作成した最新の報告書は、こうした変化とは一体何なのか、そしてそれがなぜ重要なのかについて解説している。

 5つの新機能には、以下が含まれる。

  • トランスフォーマーネットワーク
  • 合成データ
  • 強化学習
  • 統合学習
  • 因果推論

 著者であるKjell Carlsson氏、Brandon Purcell氏およびMike Gualtieri氏は、これらの進歩が技術的な実現性とビジネスアプリケーションの観点から人工知能(AI)にどのような影響を与えるのかについて説明している。

 こうした変更は、データ、精度、速度、セキュリティの制限など、企業が頑健な使用事例を開拓するのを困難にしてきた「AI 1.0」の制限の一部に対処している。著者は、AI 1.0がパターン認識タスクに特化したモデルや集中的なトレーニングおよび展開に焦点を当てているのに対し、AI 2.0は言語、ビジョン、その他の一般的なデータ生成モデルに特徴があり、あらゆるところに埋め込まれていると説明している。これはAIにとっては連続性のない変化であり、こうした新機能はこれまでのAIの歴史からの重大な決別であることを意味すると報告書は言及している。

 AI 2.0は、コンテンツやソフトウェアコードの自動生成、記事の要約、質問の作成ができるようになったほか、どこでもこうした能力を展開できるようになっている。著者は、AIモデルをエッジに配置して訓練できると述べているが、これは新たなアプリケーションは、より安価で高速かつ安全でなければならないことを意味する。

 著者によると、企業はすでに、Amazon Web Services、Google、IBM、Microsoftといったハイパースケーラーから、AI 2.0ソリューションの構築を開始するために必要なツールやサービスのほとんどが利用可能になっているという。それでは、5つの技術をそれぞれ見てみよう。

トランスフォーマーネットワーク

 トランスフォーマーネットワークは、自然言語の処理や生成といった、時間や文脈の要素を帯びた作業を扱うことができる。この進歩により、巨大なモデルを訓練し、個別に作動する個々のモデルより精度が高く、少ないデータで複数の作業を一度に実行することが可能になる。報告書によると、Microsoftは自然言語検索、画像の自動キャプション、ゲーマーの不適切な言葉遣いの管理、自動カスタマーサポートといったビジネスアプリケーションでトランスフォーマーネットワークを利用しているという。Salesforce Researchの「Photon」は、ビジネスユーザーからの質問を自動生成されたSQLクエリーに変換するためにこうしたネットワークを利用している。

合成データ

 AIはデータ上で作動しており、モデルの訓練や企業の使用事例の構築に必要な分量のデータを入手するのは容易でも安価でもない。報告書によれば、合成データはその問題を解決し、モデルの精度、頑健性、一般化可能性を向上させるという。MDCloneのような企業は、データの欠落を埋め、患者のプライバシーを保護するために、医療現場で合成データを活用している。これは、合成データを自社で作成したくない企業にこのサービスを提供するベンダーの新たなエコシステムの一例だ。

強化学習

 この新機能により、企業はデータの変化に迅速に反応することが容易になる。強化学習は、過去のデータに頼るのではなく、実際の環境や模擬の環境での試行錯誤を通した行動から学習する。ある石油ガス探査企業は、Microsoftの「Project Bonsai」を利用して、地下に水平掘削する上で最も有望な経路を探し出していると、報告書の著者は言及している。

統合学習

 AIからの学習を広く流通させるための障壁の1つは、データを複数のソースから転送する必要があることだ。このデータ転送は、「コストがかかり、困難であり、セキュリティ、プライバシー、競争力の観点からリスクを伴うことが多い」とされている。統合学習では、個別のAIモデルが、基礎となるデータの代わりにモデルを共有できるようになる。つまり、1つの組織内でも、複数の組織間でも、インテリジェンスを「迅速、安価かつ安全に」共有することが可能になる。報告書の著者は、Googleの「Android 11」は、スマートリプライを作成したり、絵文字を提案したりするために統合学習を利用していると述べている。

因果推論

 この手法は、データに裏付けられた関係を示唆する変数間の因果関係を特定できる。これは因果関係を証明することはできないが、パフォーマンスの低いモデルに基づくビジネス上の誤った意思決定を回避しやすくする。この能力は、他の4つの要素と比べると開発の初期段階にある。

 Forresterは、こうした新機能を既存のAIの取り組みに導入するため、企業が以下の手段を取るよう勧めている。

  1. AI 1.0の取り組みに関する旅程を続けながら、AI 2.0の機能性に向けた基礎固めをすること。
  2. AI 2.0の専門知識を持つ人材はまだ存在しないため、既存のスタッフの訓練に投資すること。
  3. 事業価値と技術的な実現性の両方で高い評価を得ている使用事例を探すこと。
  4. Amazon Web Services、Google、IBM、Microsoftが提供しているAI 2.0の製品を探すこと。
  5. 普及の起爆剤となるような使用事例や技術的な突破口をひたすら待つこと。
Forresterが作成した「AI 2.0」に関する最新の報告書は、移植性、精度、セキュリティの課題に対処する5つのAI技術の進歩について説明している。
Forresterが作成した「AI 2.0」に関する最新の報告書は、移植性、精度、セキュリティの課題に対処する5つのAI技術の進歩について説明している。
提供:Forrester

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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