急速に広まったテレワークを標的とする、ランサムウェアなどのサイバーアタックが増加するなか、ゼロトラストセキュリティが注目されています。ゼロトラストセキュリティとは「社内ネットワークは安全である」という前提の下で境界線を守るセキュリティ対策では企業のデータを守りきれなくなっている今、「全て信頼できない(ゼロトラスト)」ことを前提とした性悪説に基づきセキュリティを管理するアプローチのことです。
しかし、急遽広まったテレワークに対して、仮想私設網(VPN)経由で従業員が自宅から社内ネットワークにアクセスして業務を進めるという形で対応した企業も多かったのではないでしょうか? そのような状況の中で「遅くて作業が滞る」などユーザビリティを問題にする意見が多数見受けられたのではないでしょうか?
セキュリティ対策は大切ですが、それが従業員の生産性を低下させる要因であってはなりません。従業員が毎日使用しているテクノロジーやツールが、従業員に力を与え、“従業員体験”を向上させる上で重要な役割を果たしているからです。
Citrixが米国の調査会社Pulseと行った調査では、テクノロジーへの安全なリモートアクセスも従業員体験に影響を与えることが明らかになりました。従業員がアプリケーションやデータに容易にかつ安全にアクセスできない場合、生産性が低下する可能性があります。
さらに、セキュリティはアクセスポイントだけではなく、従業員の作業セッション全体を保護する必要があります。従業員がアプリケーションやデータに容易にかつ安全にアクセスし、会社に提供する知的財産やイノベーションが安全であることを確信できれば、結果的に従業員体験が向上し、生産性向上につながり、その結果、企業文化や企業目標へのエンゲージメント向上につながるのです。
従業員の働く場所や方法が進化する中、セキュリティ対策がより複雑になることを心配するIT担当の方も多いと思いますが、ゼロトラストの導入により、複雑性への対処を懸念することなく、従業員は好きな場所で好きなように仕事をすることができるようになり、重要な情報リソースへスムーズにアクセスでき、従来のVPNよりもパフォーマンスを向上させることが可能です。同調査では、興味深い結果がいくつか明らかになりました。
- 調査対象となったIT管理者の97%が従業員体験がセキュリティ戦略において重要な位置を占めていると考えています。
セキュリティとユーザー体験は表裏一体の関係にあります。従業員はタブレットやスマートフォン、PCなど、好きなデバイスを使って仕事をするので、従業員が仕事をする現場では、セキュリティはスムーズであるべきで、決して従業員体験の妨げになってはいけません。
残り本文:約1184文字 ログインして続きを読んでください。