セールスフォース・ドットコム(千代田区)は12月8日、「Customer 360 Audiences」と「Interaction Studio」を国内で提供開始することを発表した。同社デジタルマーケティングプラットフォーム「Marketing Cloud」の可能性を広げるものだと同社は説明している。
Customer 360 Audiencesは、あらゆるタッチポイントでパーソナライズされた体験を提供するカスタマーデータプラットフォーム(CDP)。Customer 360 Audiencesにより、マーケティング担当者は、顧客データを取得して統合し、セグメント化や活性化が可能という。顧客に関する「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth:SSOT)」を提供し、マーケティング、コマース、サービス、セールスなどの分野でパーソナライズされた顧客体験の提供を支援する。
Interaction Studioは、リアルタイムパーソナライズとインタラクション管理として、さまざまなチャネルにおける1対1のエンゲージメントを可能とする。行動分析と機械学習をデータソースと組み合わせることで、顧客や見込客に関する包括的な視点を提供。さらにカスタマージャーニーの重要なポイントにおいても、関連性が高く、個別に最適化された体験の提供が可能となる。パーソナライズされた体験を提供し、企業のエンゲージメント、コンバージョン、収益、ロイヤリティーの向上をサポートできると説明する。
顧客が求めるのはパーソナライズされた体験
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、多くの企業では、顧客の顔を直接見ながらやりとりすることが少なくなったことから、「どうやって顧客を理解するか、それをどうやってデジタルで実現するかということが課題になっている」とセールスフォース・ドットコムでマーケティング本部プロダクトマーケティング マネージャーを務める前田恵氏は述べる。一方、消費者も企業とのつながりを求めており、前田氏によると、顧客や見込客がパーソナライズされたエクスペリエンスを期待していると調査で回答したマーケターは92%だという。
だが、企業が顧客と実際に接する場合、「各部門が見ているのは、顧客の全体像ではない」と前田氏。企業ではマーケターやカスタマーサービス、セールスなどが顧客と接しているが、マーケターなら「エンゲージメントの向上」、カスタマーサービスなら「自己解決率の向上やケースあたりコストの削減」、セールスなら「売り上げや顧客の増加」といった個別の評価指標(KPI)の達成を目指している。その場合、たとえば、マーケターは、カスタマーサービスと顧客がどのようなやりとりをしてきたかなどについて、データが共有化されていないなどの理由から、把握できていないのが現状だという。
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