Microsoftが長年にわたってさまざまな点を改善してきたにもかかわらず、多くの人は今なお「SharePoint」がかなり古くさいコンテンツストレージシステムだと考えている。「OneDrive」の堅苦しいマネージド版にワークフローエンジンを追加したようなもの、というのが大半の人の印象だ。しかし、「Microsoft 365」担当コーポレートバイスプレジデントのJeff Teper氏がよく指摘するように、SharePointはアプリケーションでもあり、プラットフォームでもある。ワークフローと承認機能を含むアプリをSharePoint上で構築できるほか、「SharePoint Framework」を使ってイントラネットサイトを構築することも可能だ(SharePoint Frameworkは「React」や「Angular」など、あらゆる「JavaScript」フレームワークと連携するJavaScriptコントロールで、「SPFx」とも表記される)。
OneDriveにはSharePointの技術が活用されているし、新しい「Microsoft Lists」アプリケーションは実際には内部で「SharePoint Graph API」を使用している。「Microsoft Teams」は多くの点で、SharePointリソースに簡単にアクセスできる手段だ。Teamsの共有ファイルはSharePoint上に存在し、プライベートチャットはSharePointのサイトコレクションとして実装されている。Microsoftが2020年に入ってオープンソース化した「Fluid Framework」は、Microsoft 365担当ゼネラルマネージャーであるSeth Patton氏が「AIが組み込まれた超高速かつ高性能のクラウドプラットフォーム」と呼ぶ環境で、共同作業用の分散アプリケーションを作成することでき、実際には「強化されたSharePointファイルストレージの非常に重要な進歩」がベースになっている。
Teper氏は、FluidをREST APIの進化であると考えるように提案した。「Fluidはアプリケーションのあらゆる種類のバックエンドの開発を可能にするレイヤーであり、それによってさまざまなフロントエンド(ユーザー体験)に対応できる、とわれわれは考えている。現時点ではリアルタイムでない多数の基幹業務アプリケーションがリアルタイムに、そして楽しくインタラクティブなものになり、コンポーネントをストレージシステムに、すなわちアプリ自体のビジネスプロセスバックエンドに公開することを期待している」
Microsoft自身がFluidのバックエンドを最初に実装した事例は、新しいOneDriveコンシューマーサービスでのSharePointだが、同社がオープンソース化したのはFluidのプロトコルとデータ構造、そして開発者がSharePointだけでなく独自のバックエンドサービスに接続できる共同作業用のコンポーネントだ。
「Fluidのきっかけとなったのは、ドキュメントの共同編集に関して行ってきた他のすべてのことをどうすれば飛躍的に進化させられるか、ということだった。具体的には、カーネルモードで動作する『Azure Blob Storage』上に階層化されたSharePointに、新しいストレージシステムを配置して、プロトコル内のFluidデータ構造をオン(ストレージ)ディスクとSharePointにネイティブにマッピングし、驚異的な速度を実現した」とTeper氏は語る。
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