前回は、新型コロナウイルス感染症予防に伴う在宅勤務やテレワークの浸透により、多くの企業で検討されている、通勤交通費の実費支給切り替えに関して、考えるべきポイントを2つご紹介しました。後編では、残り3つのポイントについて解説していきます。
(3)定期券と実費支給は本来は両立できない
ここまでくると、実施に向けた枠組みが見えてくるはずです。例えば
- 東京エリアに比べると他エリアは在宅率がそこまで高くない
- 本社や大阪支社の多くがJR沿線で、電車定期にそこまで削減効果が見られない
- ただし、東京エリアのバス定期は削減効果が見込めそう
ということであれば
- 東京エリアのバス定期を実費支給に切り替える
というようなジャッジが可能になります。そうすれば次に
- 現状の通勤交通費支給期間が完了したタイミングで、対象者の経路を実費支給に切り替える
- 次月以降のバス経路については、対象者の勤務地情報に基づいて実費か定期か振り分ける
というような具体的な運用が見えてきます。
一方、当社が把握している各企業の検討事例の中には「1カ月の出社日数が〇日未満であれば、通勤費は実費支給、〇日以上であれば定期代を支給」というようなケースが多々見受けられます。
「出社日数に応じて実費にするなんて、至極当たり前では?」そう思われる方も多いでしょうが、この制度、果たして運用可能なのでしょうか?
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