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リモートワークにおける人とのつながりとメールの問題点--Slack幹部が語る展望

多くの企業でリモートワークが続く中、従業員同士の交流の減少が問題となっている。Slackの幹部に、パンデミック下におけるコミュニケーションや競合の「Microsoft Teams」などについて聞いた。

 在宅勤務が何カ月も続いている状況で、従業員のやる気と関与を維持するにはどうすればいいのか。これは、2020年に多くの企業が突きつけられた課題だ。また、新しいリモートワーク現象を自社のリモートワークツールによって支えているソフトウェア企業で、さかんに取り沙汰されているトピックでもある。

 この数カ月の在宅勤務は、オフィスを拠点とする従業員にとって、一長一短があるものだった。デスクがベッドのすぐ近くにあって便利だと喜ぶ人も多いが、職場が否応なく自宅に入り込んでくることにはマイナス面もかなりあり、社会的な交流の欠如が主な問題となっている。

 「多くのプラス面とマイナス面が出てきたと思う」。Slack UKの責任者であるStuart Templeton氏は米TechRepublicにこう語った。

 「私たちは、通勤に使っていた時間を取り戻すことができた。この点を誰もが前向きに捉えているかどうかは分からないが、気をつけていれば、多くのリモートワーカーはワークライフバランスが改善されたと感じられるはずだ」

 マイナス面は、物理的なオフィスが閉鎖されたときに多くの人が味わった強い孤独感だ、とTempleton氏は指摘する。これは、チャットソフトウェアだけでは解決できない問題かもしれない。「Slackのようなテクノロジーには非常に大きな効果があるが、良好な人間関係を築くのが以前よりも難しくなっている」とTempleton氏は述べる。

 長期の在宅勤務が従業員に及ぼす影響を免れている企業はない。自宅と職場の境界線が曖昧になり、勤務時間がCOVID-19の感染拡大前に比べて長くなったと報告する従業員が増える中で、従業員の消耗は組織にとって非常に現実的な問題になっている。

 Templeton氏によると、Slackでは、顧客に「推奨してきたことを自ら実践」し、会議に費やす時間を抑える一方で、1対1の通話による人の交流の時間を奨励しているという。

 「ビデオ通話を毎日一日中使用している場合、その認知的負荷は無視できるものではないだろう」とTempleton氏。「ビデオ通話の一部を電話に切り替えるよう提案すれば、おそらく健全なバランスになるはずだ」

 SlackはCOVID-19のパンデミック発生期間を通じて着実な成長を遂げている。黒字化はまだ達成していないものの、第2四半期の売上高は49%増加し、有料顧客数は前年比30%増の13万となった。

 「成長は依然として堅調だ」とTempleton氏は語る。「突き詰めていくと、当社はずっと、長期的な顧客価値に注力している。顧客がより多くの価値をプラットフォームから引き出し、多数のツールをチャネルベースの構造に統合して、適切な人に適切な情報を提供できるようにする。それが当社の基本的な目標だ」

 これこそが、Slackが競合のワークプレイスコラボレーションツールとの差別化要因と考える重要な点だ。「Microsoft Teams」と「Zoom」がビデオ会議分野の覇権をめぐって争っているのに対し、Slackは情報を即座に共有できるオフィス全体のチャットルームを作り出して、乱雑な受信トレイへの依存を減らすことに注力している。

 Slackはオフィスの壁の向こう側にも目を向けており、2020年6月に発表された「Slack Connect」では、社外にいる最大20人のユーザーと安全なチャネル内で通信することができる。ここでの基本的な狙いは、共同プロジェクトに取り組む組織が、コミュニケーションをサイロ化されたメール受信トレイからSlackに移し、作業をより迅速に完了できるようにすることだ。

 Templeton氏は次のように語る。「組織は孤島ではない。チャネルベースのコミュニケーションによって、連帯をうまく推進し、人間関係や人とのつながりを生み出すことができるのなら、なぜそれを組織の境界内に限定する必要があるだろうか」

 Templeton氏によると、直近の四半期の時点で5万2000の有料顧客がSlack Connectを使用しているという。同氏はSlack Connectが電子メールに完全に取って代わる可能性を示唆しているわけではないが(もちろん他のテクノロジーは過去にそれを試みている)、企業が雑然とした受信トレイの境界を越えて関係を構築する取り組みにおいて、Slack Connectが重要な役割を果たすと考えている。

 「私はよく、Slackを組織の電子メールに代わるものと説明する」とTempleton氏は述べた。

 「『WhatsApp』によって、私生活での電子メールやテキストがなくなったわけではないが、使用量が大幅に減少した。したがって、これを別の角度から見てみると、組織での電子メール利用がSlackによって大幅に縮小するかもしれない。電子メールが今後数年または数十年のうちに終焉を迎えるかどうかは分からないが、私は電子メールの欠点ならを十分に認識している」

 非常に多くのリモートワークツールが提供されているため、ある程度の重複が発生することは避けられない。この事実はTempleton氏自身も認めている。しかし同氏は、Slackの最大のライバルといえるMicrosoft Teamsに関して、この問題に対する両社のアプローチが大きく異なっていると指摘する。Slackが「最良の組み合わせ」というアプローチを採用しているのに対し、MicrosoftはTeamsを独自のソフトウェアバンドルの一部として提供しているという。

 「われわれは、最良の組み合わせのテクノロジーが顧客に価値をもたらすと強く信じている。しかし、もっと重要なのは、どの顧客も1社のベンダーに依存していないことだ」(Templeton氏)

 電子メールの代わりにインスタントメッセージングプラットフォームを使うことの潜在的な問題の1つは、そのようなテクノロジーが持つ意味合いだ。すなわち、即時のコミュニケーションが期待される。これを考えると、企業でのインスタントメッセージは生産性に対するリスクとなるのだろうか。

 「私自身の見解では、それは実際にはテクノロジーの問題ではなく、リーダーシップの問題だ」とTempleton氏は語る。

 「このような新しい働き方に関してリーダーが意識しなければならないのは、Slackはチャネルベースのメッセージングプラットフォームだが、メッセージだからといって、たとえば電子メールよりもリアルタイムに応答する必要はない、ということだ」

 「電子メールやSlackメッセージに常にリアルタイムで応答できる人は、自分自身の思考や質の高い仕事のために時間を割いていないという意見もある。それはテクノロジーの課題ではなく、リーダーシップの課題だと思う」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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