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デジタルビジネスの成否を分ける--求められる全社視点のデータデザイン

データを統合するにあたり、留意すべき事項としてはどういったものがあるだろうか。クニエでデータマネジメント/データガバナンスを担当する小林氏がデザインする際の考え方、具体的な方法などを解説する。

データのデザインの観点

 次にデータをデザインするための3つの観点を述べる。

1.全体最適化の視点を持つ

 自社に存在するデータが現在どのような状況か把握できないまま、サイバー空間とフィジカル空間を融合させることはできない。よって、全体最適化の視点を得るためにエンタープライズデータモデルを作成する必要がある。

 非常に労力のかかる作業であるため、エンタープライズデータモデルの作成経験がない企業は、まずはどの領域のデータが把握できており、どの領域が把握できていないのかを整理するだけでも良い。この整理だけなら時間はかからないだろう。

 これを起点に戦略的、戦術的な視点でデータのデザインを進める。

2.ビジネスとデータの関係性を可視化する

 データモデル上では、対象となるデータを「エンティティ(entity)」と呼ぶ。エンティティとは、実体、存在、実在という意味であり、ビジネスにおけるモノやコトを表現したものになる。

 データモデルは、デジタルビジネスに求められるエンティティの関係性を正しく描き、モデル化したものである。モデル化することでビジネスとデータの関係性が可視化されるため、目的に合わせて、どのデータを、どのようにつなぎ、統合したら良いのかデザインすることができる。

3.データガバナンスを重視する

 最後に、最も重要な観点が、データガバナンスである。

 全社的に統合された理想的なデータ構造をデザインしたとしても、そのデータの品質や取り扱いに関して、誰がどのような形で責任を持てるのかを理解、反映しておかなければデータに関する保証ができず、ビジネスとして利活用できなくなってしまう。

 特に個人データについては、GDPR(EU一般データ保護規則)や個人情報保護など国ごとのルールが発生する場合があるので注意が必要である。

デジタル時代のデータデザインの進め方

 一般的なアプローチは、現状を調査し、あるべき姿を描いていくボトムアップ型となる。全社視点で取り組むと長期にわたることは避けられない。

 しかし、デジタル化を推進していくのであれば、そのスピード感では非常に厳しい。デジタル時代のビジネスを考えると、第1回でも述べているように、ハイブリッド・アプローチで進める必要がある。

 最初の取り組みとして、小さく始め、効果を出し、迅速性を担保するために、トップダウン型のアプローチで求められるビジネスとデータの関係を描いていく。トップダウン型のデータモデリングでは、ユースケース、仮説、俯瞰的な業務機能図などを用いて、サブジェクトエリアモデルを意識しながら短期間でデザインを完成させていく。

 データのデザインは、デジタルビジネス、データビジネスのコアとなり、これを誤ると、ビジネス成功はありえない。非常に重要であるため、データプラットフォームなどのデータ環境構築と並行して、データをどのようにデザインしていくのか忘れずに検討する必要がある。

小林 靖典(こばやし やすのり)
クニエ データマネジメント/データガバナンス担当
マネージャー

ITコンサルタントとして、システム企画、提案依頼書策定、要件定義分野から、データマネジメント/データガバナンス(データアーキテクチャ、MDM、データHUB、DL/DWH/BI、メタデータ管理、データ品質管理、データガバナンス組織構築、制度策定など)の分野で多数の実績を有する。 クニエでは、データマネジメント、データガバナンス分野の専門家として、データ戦略策定、データマネジメント構想策定、データプラットフォーム実現のためのデータマネジメント全般支援、データガバナンス組織構築支援、データマネジメント教育などに携わる。

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