新興技術 AI・機械学習

ガートナー「ハイプサイクル」レポート2020年版--注目の5つの先進技術

ガートナーの「Hype Cycle for Emerging Technologies」レポートの2020年版が発表された。特に注目すべき新技術として、「シチズンツイン」「コンポーザブルエンタープライズ」など5つを取り上げる。

エッジにおける低コストのシングルボードコンピューター

 GartnerのアナリストのTony Harvey氏によると、これらのコンピューターは、異常検出などのデータフィルタリングや、エッジでの画像認識などのAI推論といった機能を実行する汎用システムだという。システムオンチップ(SoC)ソリューションをベースとしており、必要なタスクを実行するための最小限の機能を搭載している。アップデートを迅速に配信できるように、運用環境はマイクロOS、仮想マシン、コンテナーを中心に構築される。

 Harvey氏は、市場が「Raspberry Pi」を越えて拡大し、「Arduino」のようなオープンソースのマイクロコントローラーベースシステムのほか、Texas Instrumentsの「BeagleBone AI」やNVIDIAの「Jetson Nano」などのAI推論システムも含まれるようになったと記している。

 これらのコンピューターが適しているのは、データ処理、画像認識、音声認識、AI推論などの機能を提供する低価格デバイスが多数必要になるエッジプロジェクトだ。Harvey氏は、性能の向上や新機能の迅速な提供により、この市場が今後数年間で急速に進化すると予測している。IT管理者は、迅速に展開可能で、熟練のスタッフがその場にいなくても現場で管理や更新ができるシングルボードエッジサーバーを検討すべきだ。セキュリティは、物理的なデータストレージ、通信、管理、更新など、あらゆる分野でシステムに組み込む必要がある。

セキュア・アクセス・サービス・エッジ

 今回紹介する5つの用語の中で、Gartnerがハイプサイクルの「ピーク期」に分類したのは、このトレンドだけだ。

 セキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)アーキテクチャーは、ソフトウェア定義型広域ネットワーク(SD-WAN)、セキュアウェブゲートウェイ(SWG)、クラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカー(CASB)、次世代ファイアウォール(NGFW)、ゼロ・トラスト・ネットワーク・アクセス(ZTNA)など、複数のセキュリティ機能を提供する。

 SASEはサービスとして提供され、オフィス勤務の従業員やリモートワーカーをサポートする。デバイスやユーザーのIDをベースとし、リアルタイムのコンテキストやセキュリティポリシーと組み合わせて使用する。

 同じベンダーのSWG、CASB、ZTNA、ブランチファイアウォールのアズ・ア・サービス機能を導入した企業の割合は、2019年には5%未満だったが、Gartnerはその割合が2023年までに20%に上昇すると予測している。レポートでSASEのセクションを執筆したアナリストのJoe Skorupa氏とNeil MacDonald氏は、「特にクラウドベースのデリバリー・アズ・ア・サービス・モデルや、分散型PoPに必要な投資への準備が十分にできていない既存ベンダーのスライドウェアやマーケテクチャー」に注意するよう、ITマネージャーに警告した。

 Skorupa氏とMacDonald氏は、ベンダーの提案の評価に際して以下の点を推奨している。

  • コアサービスの提供元のベンダーを全体で2社以下に絞る。
  • 移行期間が長くなるとしても、ブランチオフィスとセキュアリモートアクセスを単一の実装で組み合わせる。
  • 多数の製品を仮想マシンのサービスチェイニングでリンクさせて、幅広いサービスを提供すると提案するベンダーには近寄らない。

 同レポートでSASEソリューションのベンダーの例として挙がっているのは、Akamai、Cato Networks、Cisco、Citrix、iboss、Netskope、Open Systems、Palo Alto Networks、VMware、Zscalerだ。

来歴の認証

 ブロックチェーンは、さまざまな問題を解決するという触れ込みだったが、「ブロックチェーンで追跡しているものがそもそも実在するかどうかは、どうやって確認するのか」という疑問にはまだ答えられていない。GartnerのアナリストのAvivah Litan氏とSvetlana Sicular氏がレポートの該当セクションで書いているように、「その問題は悪化している。ブロックチェーンでは台帳の変更が不可能であるため、入ってきたゴミは変更も削除もできず、いつまでも存在し続けるからだ」。ブロックチェーンを食品や薬物の追跡に使用する前に、この難題を解決しなければならない。

 来歴アプリケーション用にブロックチェーンを導入した企業において、ブロックチェーンで追跡している商品やコンテンツのオンボーディングをデジタル認証するニーズが生じるにつれて、将来的に来歴認証ソリューションの需要が拡大していく、とGartnerは予測する。現在、この認証は手作業での監査や人間の信頼に依存しているが、どちらも拡張性がない。

 アナリストらは企業やその他の組織に対し、同業者や業界団体と協力して、偽の商品やコンテンツに対抗する集合的なソリューションを構築するように推奨している。このテクノロジーは初期の段階にある。ベンダーの例はIBMとThinkIQの2社だ。

AIが至る所に

 今回のレポートでは、「コンポジットAI」「生成的AI」「責任あるAI」「組み込み型AI」「説明可能なAI」など、あらゆる種類の人工知能が取り上げられた。

 Burke氏は、アルゴリズムによってオリジナルの楽曲、文章、芸術作品を作成できるAIの新たな開発に、最も関心があるという。同氏はHype Cycleレポートで、それを実行できる「敵対的生成ネットワーク」(GAN)に関するセクションを執筆した。生成ネットワークと識別ネットワークという2つのニューラルネットワークモデルが連携して、動画、画像、音楽、テキストを作成する。GANを使って、特定の性質を持つ新しい薬剤化合物や新しい素材のモデルを構築することも可能だ。

 「コンピューターはこれまで、真の乱数を生成することすらできなかった。アルゴリズムによって作成できるさまざまなものについて考えると、その可能性は無限大だ」。Burke氏はこう記している。

提供:Gartner
提供:Gartner

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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