「週5出勤は必須ではないかもしれない」「賃料の高い都心にオフィスを構える必要はないのかもしれない」「そもそもオフィスという箱は必要なのか」——。
新型コロナウイルス(以下、コロナ)の蔓延によって、変化することを余儀なくされた私たちは、働き方の本質と向き合い始めたとも言える。
現に従来の働き方を見直す企業も出てきている。今回は政府による緊急事態宣言が解除された後もテレワークやリモートワークを継続し、その過程で「これからの働き方」をより良くするためのツールを導入した企業の事例を紹介する。
エフスタイル(東京・千代田区)は、以前「オフィスにいるようなコミュニケーション--仮想オフィスサービス3選」で取り上げた「Sococo」を2015年に全社導入した。仮想オフィスサービスは、メンバーが異なる場所で働いていても、オフィスで一緒に働いているような感覚でコミュニケーションを図れるツールだ。Sococo導入について、エフスタイル代表取締役の宮田志保氏に話を聞いた。
同社は2007年に設立され、メディアコンテンツの企画・制作・調査や医療・自然科学等の分野に関する広告代理業、文字起こしに関する事業、テレワーク・在宅就労支援のプロデュース事業などを担う。2020年8月時点でディレクター12名、事務職4名の計16名の従業員を抱え、外部のパートナー(ライター)約300名と連携して業務を行う。
3拠点を繋いで“場所にとらわれない働き方”
コロナの問題が騒がれ始めた2020年2月中旬、同社は5月末まで全従業員を在宅勤務とする、と判断。全員が会社貸与のノートPCを持ち、出退勤もウェブのシステムで完結するなど、いつでもフルリモートに切り替えられる体制が整っていた。
そのため在宅への“移行期間”は設けず、決定後は速やかに在宅勤務をスタート。緊急事態宣言解除後、6〜7月は原則出社していたが、8月からは再びフルリモートの体制に戻っている。
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