本連載では、企業の文書管理に関して、紙文書や文書管理システムの現状、それに伴う問題点やリスクを整理してきた。
最終回となる今回はそれらを踏まえて企業が目指すべき文書管理について解説するが、まず結論を述べておく。文書管理で最も重要なこと、それは「原本性」と「検索性」の確保に他ならない。過去にも繰り返し述べてきたので、しつこいように感じられるかもしれないが、この重要項目のうち片方どころかどちらも実現できていない企業がきわめて多い。
事実、原本性と検索性がユーザーに担保できなければ、それは「文書管理」ではなく、ただの「文書保管」である。あなたの会社は文書保管になっていないだろうか?
保管とは今の文書の状態を維持することに重点を置き、管理とは今の文書の状態が適切かどうかに重点を置くことである。保管は文書の中身を知らなくてもできるが、管理は中身を把握していなければできない。今回は文書を保管するのではなく、管理するために企業がすべきことを解説する。
1.まずは紙の電子化に取り組む
文書管理に関する責任者や担当者の選定、目的の決定、スケジュールの作成をした後、一番初めに取り組むべきは紙文書の電子化、つまりペーパレス化である。普段使っている複合機などでスキャンしているからすぐにできる、と甘く見てはいけない。
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