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「Raspbian」は「Raspberry Pi OS」へ--64ビット版も発表された新OSの変更点

「Raspberry Pi」の公式OSは「Raspbian」から「Raspberry Pi OS」に名称変更された。新たに追加された拡大鏡機能、「Bookshelf」アプリ、ユーザーアンケート機能などについて解説する。

 Raspberry Pi Foundationは5月下旬、大人気の「Raspberry Pi 4」ボードの8GB版を発売するとともに、Linuxベースの公式OSの名称を「Raspbian」から「Raspberry Pi OS」に変更した。また、名称の変更に加えて、同デスクトップOSの64ビット版も発表された。その狙いは、新しい8GB版Raspberry Pi 4の性能を最大限に引き出せるようにすることだ。

 新しいソフトウェアリリースには不具合が付きもので、同財団がそれを解消するまでのしばらくの間、64ビット版はベータ状態となる。一方で、Raspberry Pi OSの32ビット版もアップデートされ、変更点の概要が公開された。主な変更点は以下のとおりだ。

拡大鏡

 Raspberry Pi Foundationが力を入れていることの1つは、目が不自由な人のためにアクセシビリティーを改善することだ。この取り組みは予想より難航しており、同財団は「Debian」デスクトップで現在利用可能な拡大鏡ツールの大半が期待どおりに機能しないことを確認した。

 そこで、Raspberry Pi Foundationは新しい「Magnifier」(拡大鏡)ツールをゼロから構築した(あるいは、それに限りなく近い開発だったと言える)。このツールを利用するには、新しいデスクトップの左上にある「Preferences」(設定)で、「Recommended Software」(推奨ソフトウェア)を選択し、「Universal Access」(ユニバーサルアクセス)タブから「Magnifier」(拡大鏡)を選択する。

 再起動後に、拡大鏡アイコンがタスクバーの右上に表示される。これをクリックするか、「Ctrl」+「Alt」+「M」を押すと、拡大鏡ツールが立ち上がる。拡大鏡ウィンドウは、画面上のマウスカーソルの動きに追従させることもできるし、画面上の静的ウィンドウとしてマウスでドラッグすることもできる。アイコンを右クリックして、拡大鏡の形状を円形と長方形に切り替えることも可能だ。

 一部のアプリケーションでは、拡大鏡にテキストカーソルやボタンフォーカスを自動追従させることもできるが、そのために必要なアクセシビリティーツールキットを現時点ですべてのアプリケーションがサポートするわけではない、とRaspberry Pi Foundationは指摘している。

「Bookshelf」

 Raspberry Pi OSの32ビット版の最新バージョンでは、同財団の出版事業であるRaspberry Pi Pressが、以前よりも目立つようになった。これはBookshelfの追加によるものだ。Bookshelfは、Raspberry Pi Pressの書籍、雑誌、PDFを扱う新しいストアフロントで、メインメニューの「Help」(ヘルプ)セクションからアクセスできる。

 Bookshelfを起動すると、「The MagiPi」「HackSpace」「Wireframe」といった雑誌が含まれるRaspberry Piの無料読書コンテンツのバックカタログ全体にアクセスし、閲覧することができる。タイトルをダブルクリックすると、Raspberry Piのホームディレクトリー内のBookshelfフォルダーにPDFがダウンロードされる。

 Bookshelfアプリケーションを実行するたびに、カタログが自動で更新されて、新しい号が追加される。新しいコンテンツがライブラリーに追加されると、起動時に通知を受け取れる。Raspberry Pi Foundationによれば、Bookshelfから書籍をダウンロードしようとすると「ディスクに空き容量がない」旨のエラーが表示されるとの報告が、一部のユーザーから寄せられており、その問題の解決に取り組んでいるところだという。この問題の影響を受けるのは、デフォルト言語が英語ではないシステムで同アプリを実行しているユーザーだけのようだ。

ユーザー調査

 新しいRaspberry Pi OSアップデートへの主な追加機能として最後に紹介するのは、ユーザー調査用のアンケートだ。これ自体はソフトウェアツールではないが、調査の結果はRaspberry Pi OSとそれに付随する機能の今後のアップデートに役立てられる。ユーザー調査機能の主な目的は、デバイスをどのように使っているか同財団に伝える機会をRaspberry Pi所有者に提供して、全ユーザーを十分にサポートできるようにすることだ。COVID-19の感染拡大以降にRaspberry Piの出荷台数が大幅に増加し、多数のユースケースが登場していることを考えると、これは現在の状況に大いに即している。

 アンケートは任意であり、最新のRaspberry Pi OSバージョンへのアップデート後、「Chromium」ブラウザーを初めて起動したときに表示される。質問は4つだけだが、Raspberry Pi Foundationは「将来の製品開発に非常に有益だ」と述べている。

オーディオの調整

 Raspberry Pi OSには、他にもいくつか細かな調整や修正がある。その1つが、「Advanced Linux Sound Architecture」(ALSA)でオーディオを処理する方法の変更だ。Raspberry Piはこれまで、オーディオの入力と出力(たとえばHDMIとヘッドホンジャック)の両方を単一のデバイスとして扱ってきた。そのため、どのデバイスをアクティブにするかを、コマンドラインで制御しなければならなかった。

 最新のアップデートにより、それぞれのオーディオ出力が個別のALSAデバイスとして扱われるようになったため、「Raspberry Pi 4 Model B」で2基のHDMI端子からのオーディオを管理するのが大幅に容易になる。そのため、同プラットフォームのサードパーティーソフトウェアとの互換性も向上する、と同財団は述べた。

 Raspberry Pi OSの新しいアップデートとそれらの設定方法の詳細については、Raspberry Piのブログを参照してほしい。

Raspbianのことは忘れよう。Raspberry Piの公式OSは、Raspberry Pi OSというシンプルな名称になった。

提供:urbancow, Rene Mansi / Getty Images
Raspbianのことは忘れよう。Raspberry Piの公式OSは、Raspberry Pi OSというシンプルな名称になった。
提供:urbancow, Rene Mansi / Getty Images

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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