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ローコード開発で資金援助申請をデジタル化--サンアントニオ市の取り組み

新型コロナウイルスの影響で資金援助プログラムの申請数が大幅に増加していた米テキサス州サンアントニオ市は、ローコードアプローチを採用して、申請の手続きをデジタル化した。その取り組みについて、同市のCTOや協力ベンダーの幹部に話を聞いた。

 米テキサス州サンアントニオ市の最高技術責任者(CTO)は、新型コロナウイルスの影響で申請件数が週に数十件から数千件に増加した資金援助プログラムを改善するため、ローコードアプローチを採用した。

 同市の「Emergency Housing Assistance Program」(緊急住宅支援プログラム)は、COVID-19対策の都市封鎖で失業者が出る前は、手書きによる申請手続きだった。このプログラムは、家賃や住宅ローン、公共料金の支払いに充当できる直接的な補助金によって、自宅を失うリスクがある人々を支援するものだ。都市封鎖が原因で失業した住民には最大300ドルの給付金も支給され、食料品、ガス、自宅学習用のインターネットアクセスなどの必需品の支払いに充てることができる。

 サンアントニオ市が4月下旬にプログラムを再開したところ、最初の週に5300件の申請があり、1週間あたり50件という通常の申請件数から増加した。

 同市は、テキサス州に拠点を置くカスタムエンタープライズソフトウェアのプロバイダーKinetechと、ソフトウェア開発用のローコードプラットフォームMendixというテクノロジー企業2社と協力して、手書きでの申請手続きをデジタル化した。

 サンアントニオ市のCTOであるKevin Goodwin氏は、ローコードやフォームベースのツール、アジャイルソフトウェア開発手法への移行を、自身の部署で数年前から進めていたと語る。

 「サンアントニオのCOVID-19への対応と復旧の取り組みでは、迅速に展開されたローコードソリューションが大きな役割を果たしている。これには、コミュニティーアウトリーチ用のESRIツール、コミュニティーエンゲージメント用の『OpenCities』ウェブポータル、職員アウトリーチ用の『ServiceNow』アプリケーション、そして最近ではVerint/KANAのCRMプラットフォームをベースとする事務用品のリクエストおよびフルフィルメント用の小規模なアプリケーションなどがある」と同氏は述べた。

 Goodwin氏によると、こうしたソリューションやMendixの資金援助用アプリケーションは、新しいニーズの出現と発展に対応できるように、数日から数週間で提供されたという。

 「サンアントニオ市ではローコードが定着した」(Goodwin氏)

 アジャイルチームのリーダーがこれらのプロジェクトを担当し、製品の所有者がアプリの機能の優先順位リストを策定する、とGoodwin氏は述べる。

 「開発者は製品所有者と緊密に連携して、小さな機能を継続的に提供していく」とGoodwin氏。「柔軟性と権限委譲が成功の鍵だ」

 Mendixの創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるDerek Roos氏は、特にチーム間の共同作業の促進を目的としてMendixプラットフォームを開発した、と語る。

 「高度な技術スキルを有するソフトウェア開発者が、専門分野の知識が豊富なビジネスパーソンと同じプラットフォーム上で連携できるため、従来のコードベースの開発で可能な水準を上回る関連性、技術革新、ビジネスインパクトを実現するソリューションを構築できる」(Roos氏)

 Roos氏は、事業部門とIT部門のコミュニケーションを改善すれば、再作業の量を減らせると述べた。

 「事業部門とIT部門が明確かつ詳細なコミュニケーションを簡単にとれるなら、『画一的』なソリューションではなく、目的に合致したソリューションを構築し、迅速に展開して、市場のターゲットニーズに対応することができる」。Roos氏はこのように語った。

市当局に適したローコード利用

 Roos氏によると、ローコードアプローチは、交通、郵便、公益事業、住宅、観光の分野において、手作業や紙での手続きをデジタル化するのに最適であり、予算が厳しく管理されている政府機関に特に適しているという。

 「Mendixを利用することで、技術スキルがあまりない人(あるいは高度な技術スキルを持つがアイデアを早期に市場投入する必要のある人)が、共同での反復的な取り組みによって革新的なソリューションを開発し、問題を効果的に解決して、好ましい影響を及ぼすことができる。市民が給付金を申請できる非常に専門的なアプリ、観光のソリューション、あるいは都市の市民エンゲージメントプラットフォームなど、さまざまなソリューションに対応可能だ」と同氏は述べる。

 Mendixは、オランダのロッテルダムと協力して、住民が訪問者の自動車のナンバープレートを登録できるネイティブモバイルアプリを開発した。来客用駐車場の許可証を持つロッテルダム市民は合計8万人で、年間250万台の自動車が登録されている。このアプリは、来客用駐車場の許可証を毎年250万件処理しており、生体認証とオフライン機能を備える。

 郵便事業を手がけるカナダ郵便公社とPost NLは、Mendixのローコードプラットフォームを活用して、ビジネスモデルを手紙から小包に移行させた。これには、1日に1000万件のトランザクションをサポートするサプライチェーンシステムを構築する必要があったが、2018年には2億5000万個の小包を扱った。

 Mendixは90日間の無料ライセンスを市当局に提供し、新型コロナウイルスへの対応を支援している。

 Forresterのローコード開発プラットフォームに関する「Wave」レポートでは、MicrosoftやOutSystems、Kony、Salesforceとともに、Mendixが市場のリーダーに選出された。これらの大手ベンダーがビジネスプロセスオートメーション、リアルタイムアプリケーション、AIサービス、大規模なミッションクリティカルアプリを提供し始めるなかで、基本的な開発サービスは最低限必要なものになっている、とForresterは説明した。

提供:SeanPavonePhoto/Getty Images/iStockphoto
提供:SeanPavonePhoto/Getty Images/iStockphoto

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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