大量の情報が表示される「ターミネーター」のハイテク照準器から、外側の世界を拡張して表示する「アイアンマン」のパワードスーツまで、デジタル情報を現実世界に重ねて表示する技術は、SF界では古くから存在する。だが今では、映画やビデオゲームが現実世界の景色を拡張してくれるのを待つ必要はない。現代のコンピューティングハードウェアには、フィクションのハイテク世界を再現する能力が十二分に備わっている。
拡張現実(AR)は、カメラ搭載スマートフォンのようなシンプルなデバイスでも、「Microsoft HoloLens」のような高度なハードウェアでも利用できる。近い将来、ARによってコンピューターとの関わり方が変わるはずだ。すでに変わっている部分も多い。本記事では、拡張現実が現代の企業にとって重要である理由やその活用方法を解説する。
どんなものなのか
SF作品によく登場するヘッドアップディスプレイのように、デジタル情報を現実世界に投影して表示する技術が拡張現実だ。この点でARは仮想現実(VR)と異なる。ARは現実世界を遮断することはなく、完全にデジタルの世界に置き換えるわけでもない。現実世界の上にデジタルの物体や情報を重ねて表示するだけだ。
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