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ライフサイクルで考える「契約マネジメント」--リーガルテック先進国の現在

契約マネジメントの考え方と日本企業の相性、リーガルテック先進国であるアメリカでの契約マネジメントの発展について紹介する。

 前回は、契約の本質的な要素としてライフサイクル、関連契約、関連業務の存在があるということと、日本企業が契約まわりの業務で抱える課題について整理をした。今回は、契約マネジメントの考え方と日本企業の相性、リーガルテック先進国であるアメリカでの契約マネジメントの発展について紹介する。

「契約マネジメント」の中身

 契約マネジメントとは、「“契約”は、契約を締結するその瞬間だけではなく、契約の検討開始〜交渉〜締結〜権利の確保と義務の履行まで、全てつながっている。しかも、企業の様々な部署・担当者が連携しなければ“契約”を実現できない。」という概念の下、契約全体をプロジェクトとして管理・マネジメントするという考え方、それを実現するためのサービスのことである。

 契約マネジメントは様々な要素から構成されるが、主なものとしては以下の3つの要素がある。

1.契約ライフサイクルマネジメント

 契約は“一度結んで終わり”というものは少数だ。多くの契約は、開始、期間満了による終了や更新、中途解除などの時間的要素を含んでいる。このような契約のライフサイクルを管理しようというのが、ライフサイクルマネジメントの考え方だ。

 例えば、不動産賃貸をしている会社は、何十、何百といった顧客と賃貸借契約を結んでいる。契約の開始、期間、更新の有無、賃料請求の時期といった様々な要素が、契約によって千差万別だ。これらを全て手動で管理していると、人的ミスが生じる危険性が高まる。

 契約ライフサイクルマネジメントを実現することにより、このような要素を全て自動で管理することができるため、確実に契約の更新をすることができ、ミスを未然に防ぐことができる。

2.リーガルプロジェクトマネジメント

 先述したように、契約はどこか一場面を切り取っただけでは管理しきれない。契約内容を検討し、交渉、締結するまでのスケジュール、結ぼうとする契約に潜む法的リスクの度合い、契約交渉にあたる部署や担当者と法務部をはじめとしたバックオフィスとのコミュニケーション、契約にかかるコストの管理、契約を結ぶために必要な業務フロー、契約締結後に必要な権利確保や義務履行のタスク管理、ライフサイクルに応じて発生する業務など、ひとつの契約をとってみても、管理しなければならない要素は多岐にわたる。さらに、一つの目的を達成するために複数の契約が絡み合う事例は多い。こうした特質を備える契約を一つの「プロジェクト」として捉え、管理をしていく考え方がリーガルプロジェクトマネジメントだ。

 リーガルプロジェクトマネジメントの考え方によれば、ある契約がどのフェーズ(検討、交渉、締結前、締結後など)にあるのか、他にあるどんな契約と関係性があるのか、業務を担当している部署や担当者は誰なのか、結ぼうとする契約が企業に与える法的リスクがどこに潜んでいるのか、契約遂行のために必要な業務にはどんなものがあるのか、確実に権利を確保し義務を履行するにはどうすれば良いのかといった、契約にまつわる様々な要素を横断的に管理できるようになる。

3.ナレッジマネジメント

 今度は、属人化という側面にフォーカスする。

 ある時期に特定の種類の契約交渉・締結・管理などの業務を担当していたAさんが外れ、別のBさんに代わったとする。新たに配属されたBさんは、Aさんと同じクオリティで仕事ができるだろうか? 答えはノーだ。

 なぜなら、契約業務を行っていく中で溜まっていく経験や知識は、全てAさんの頭の中にあるだけで、他人には共有されないからである。Bさんは、Aさんが行っていた仕事の具体的な内容を知る術がなく、Aさんと同じクオリティの仕事をこなせるようになるまで時間がかかるだろう。

 このような問題を解決しようとするのがナレッジマネジメントだ。属人的に溜まっていたナレッジを外に吐き出す仕組みを作って共有し、誰でも簡単にアクセスできるようにする。上記のような担当者の変更があっても、引き継ぎのコストをかけることなくスムーズに同じクオリティの成果を出せるようになる。担当者の能力に依存していた業務を個人から解放し、企業の資産として活用できるようになる。

「契約マネジメント」と日本企業の相性

 このような要素を備えた契約マネジメントの考え方は、組織の縦割り構造により、誰も契約を俯瞰的に把握している人が居ない日本企業にとっては相性が良い。例えば、

  • 法務相談や契約書レビューをはじめとする部署間のコミュニケーションがスムーズになり、事業スピードを上げることができる
  • 誰がどういった契約関連業務を担当しているのか、契約に基づいて業務を遂行する担当者がリスクを引き起こしていないかなど、契約そのものの「見える化」ができる
  • 散逸しがちな契約関連の情報や知見を一箇所にまとめることで必要な情報を、必要なときに、必要な人が取得できる
  • 権利義務の抜け漏れや不充分なリスク管理体制といった状況を改善して確実な内部統制とリスク管理につなげることができる
  • などのメリットがある。

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