開発ツール 開発支援

「Kubernetes」の採用広がる--伊大手銀での導入事例

「Kubernetes」はいまや、コンテナー統合管理ツールの標準となっている。イタリアの大手銀行がKubernetesを採用し、改革を進めている事例を取り上げる。

 「Kubernetes」はインフラストラクチャーAPIの標準となり、Red Hat、Mesosphere(現D2IQ)、Pivotalなどのベンダーもその引力から逃れられずにいる。企業のアプリケーション開発支援をビジネスにしているなら、Kubernetesをサポートする必要がある。議論の余地はない。

 アプリケーションを開発している企業では、今もKubernetes導入の意欲がやや強く、CNCFの2018年の調査では、Kubernetesを本番稼働させている企業は40%だった。まだKubernetes行きの列車に乗り込んでいない60%の中には、リスクを避けたがる銀行が含まれている。垂直産業の1つである伝統的な銀行は、常に先端技術を追求するヘッジファンドや証券会社とは異なり、必要に迫られない限りは、テクノロジーを切り替えたがらないものだ。一部の銀行は、いまだに30年前のメインフレームテクノロジーを使ってATMネットワークを運用している。

 この現状をKubernetesが変えつつある。筆者の聞くところによると、INGがKubernetesを利用しているようだが、これはDevOpsコミュニティーの他のアーリーアダプターに追随したユースケースだ。コンテナーとオーケストレーションはCI/CDの改善に大いに役立つ可能性があるとはいえ、伝統ある銀行が、そのような新しいテクノロジーで実際の業務を進めることはあるのだろうか。Kubernetesの勢いが増していることを示すものの1つとして、イタリア最大手の銀行の事例を紹介しよう。今後の話だけではなく、現在の使用例もある。

 Kubernetes採用の理由と、Kubernetesを利用する上で避けがたい文化的変化は興味深い。

イタリア流デジタルトランスフォーメーション

 Banca Intesa Sanpaoloは2007年、Banca IntesaとSanpaolo IMIの合併によって設立された。イタリア最大の銀行で、欧州でも最大級の規模であり、時価総額は340億ドルだ。トリノを拠点とする同銀行は、5000以上の支店を持ち、欧州と中東の10カ国以上に1900万人ほどの顧客を抱え、世界25カ国以上で国際的なプレゼンスを維持している。

 Banca Intesa Sanpaoloは2018年に、「Digital Architecture Reengineering Works Through Innovation」という戦略的デジタルトランスフォーメーションのイニシアチブを立ち上げた。マイクロサービスとコンテナーアーキテクチャーを採用し、モノリシックアプリケーションをマルチティアアプリケーションに移行するという戦略だった。最終目標は、開発サイクルを早め、アプリケーションのフットプリントを縮小して、柔軟性を高め、拡張性と信頼性を改善することだ。同銀行のITグループは、最新のCI/CDの手法を採り入れたソフトウェア企業へと変貌を遂げていった。

 このイニシアチブの中心にあったのは、Kubernetesで管理するコンテナーを稼働させるという課題だ。

 同銀行はまず、パイロットのコンテナープロジェクトを、以前から使用している仮想マシン(VM)インフラストラクチャーで実行してテストした。これらのパイロットは成功したが、ベアメタルでKubernetesとコンテナーを実行できるかについても確認したいと考えていた。パフォーマンス上の利点はあるのだろうか。さらに、VMのライセンス料を支払う負担を回避できるのだろうか。

 ベアメタルでKubernetesを利用しようと思えば、一般的にはDIYが必要になるため、思い切った決断が求められることになる。Banca Intesa Sanpaoloはゼロから作り上げるのではなく、Diamantiが開発したアプライアンスを使用することにした。Diamantiのシステムはx86のコモディティサーバーアプライアンスで、ごく普通のLinuxとKubernetesがあらかじめロードされているものだ。ただしI/Oの問題に対応するために、ネットワークとストレージのカードが追加された。I/Oの問題が発生すると、Kubernetesの本番環境へのデプロイに悪影響が及びかねない。

古いアプリからの段階的移行

 ソフトウェアの側から見ると、Banca Intesa Sanpaoloはこのアプローチを採ったことで、Kubernetesとコンテナーの戦略に注力し続けられたと言える。同時に、基盤となるインフラストラクチャーのレイヤーでは、ストレージとネットワークの仮想化のあらゆる要件に対応でき、そのパフォーマンスは、ビジネスユニットのSLAを満たすことのできる高いレベルだった。Diamantiの管理ソフトウェアによって、複数ゾーンおよび複数サイトのクラスター全体で高い可用性が実現し、ビジネスにとっての重要度が異なるさまざまなアプリケーションで、サービスの質が保証された。

「開発ツール」で読まれている記事

TechRepublic Japanで人気の記事

編集部オススメ

トレンドまるわかり![PR]

財務・経理
人事・労務
マーケ・営業
購買・調達
生産・製造
データ分析
コミュニケーション
通信・通話
文書・コンテンツ
PC・モバイル
新興技術
ITインフラ
クラウドサービス
OS・ミドルウェア
開発
開発ツール
開発支援
ノンプログラミング開発ツール
データベース
運用
セキュリティ

ホワイトペーパーランキング

  1. マンガでわかる「ルール駆動開発」レガシーモダナイズを成功させる開発手法を基礎から理解する
  2. 5分でわかる、レポート作成の心得!成果至上主義のせっかちな上司も納得のレポートとは
  3. APIエコシステムを狙うサイバー攻撃が急増、Webアプリにおける最新のAPIセキュリティ対策とは?
  4. クラウドやコンテナ利用が増える中、世界の企業が利用するAPI経由の安全なアプリ構築手法とは?
  5. ウェビナーによる営業活動が本格化、顧客接点が増加する一方で見えてきたハードルと解決策とは?

Follow TechRepublic Japan

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]