SDN/ネットワーク仮想化

「ハブ&スポーク」アーキテクチャの限界--「SD-WAN」に注目すべき理由

現行の企業WANは「ハブ&スポーク」アーキテクチャとなっており、リモートサイトからのトラフィックがすべて中央のハブを経由している。このため、SaaSではレイテンシが発生し、ユーザーエクスペリエンスという視点では問題になりかねない。

 ビジネスアプリケーションへのアクセス手段としてクラウドを選ぶ企業が増えています。しかし、インターネット経由でクラウドベースのアプリケーションに接続しようとした場合、ネットワークのレベルにおいて問題が生じます。

 トラフィックはクラウドサービスプロバイダーが提供する最も近いアクセスポイントに送らなければならず、またアクセスについてはパフォーマンスを最適化することが求められます。この状況において、優れたパフォーマンスを持つユーザーエクスペリエンスを保証するテクノロジーがワイドエリアネットワーク(WAN)をソフトウェアで制御する「SD-WAN」です。

 ある意味でクラウドは産業革命と同じ道をたどっています。

 18世紀の工場は川の側に建てられ、その水が機械、大型ハンマー、製粉機などの動力として使用されていました。この状況は国中をカバーする電力網によって根本的に変わり、今日では製造施設は中央の施設から電力を得ることができ、地域にエネルギー源があるか否かには制約されないため、どこにでも置くことが可能になっています。

 昨今のクラウドコンピューティングへの移行もITリソースを対象とする同様な動きであり、企業はローカルなインフラストラクチャの維持を必要とせず、その規模をより優れた形で柔軟に拡大することができます。

 多くの企業は以前からSalesforce、ServiceNow、Office 365、オンライン会議、ファイル共有サービスなどを活用し、クラウド革命がもたらしたメリットを享受してきました。

 このような良き体験をもとに企業はビジネスクリティカルなものを含めてさらに多くのアプリケーションをクラウドに移行し、中には厳密な「クラウドファースト」戦略を導入する企業さえ出てきています。

 しかし、クラウドへの切り換えには大きなハードルがひとつ存在します。IT部門には社内のユーザーに対し、クラウド内のリソースをオンプレミスのソフトウェアと同等のアベイラビリティやパフォーマンス、使いやすさの下で利用できるよう保証することが求められます。

 問題は、企業WANの多くはトラフィックの検査やインターネットへのトラフィック伝送に対するファイアウォールに基づくルール適用のため、「ハブ&スポーク」アーキテクチャを使用してリモートサイトからのトラフィックがすべて中央のハブに戻るようにしてきたことです。この“迂回”は大きなレイテンシを生み出し、リンクの混雑を引き起こしがちなため、劣悪なユーザーエクスペリエンスが生じていました。

 これがクラウドベースのサービスへの移行には、SD-WANを使用すべきである理由です。SD-WAN導入により、企業はデータセンター経由の迂回を行うことなく、ブランチオフィスからクラウドリソースへの最速のルートを利用できるようになります。

 クラウドサービスを利用する際にはレイテンシが必ず伴います(物理法則は回避できません)が、SD-WANは自動的にユーザーをクラウドサービスプロバイダーが提供するアクセスポイントのうち最も近いものに接続し、ネットワークのレイテンシを物理的に可能な最小限に抑えます。

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