新興技術

「ARKit」入門--進化を続けるアップルのARアプリ開発プラットフォーム

「ARKit」は、拡張現実(AR)アプリを開発するためのアップルのフレームワークだ。ARKitの機能、同キットで開発されたアプリ、各バージョンでの改善点などを紹介する(2019年7月1日公開、2021年6月29日更新)。

 「ARKit」は、2017年にAppleの「Worldwide Developer Conference」(WDWC)で「iOS 11」とともにリリースされた。拡張現実(AR)は、Appleをはじめとするハイテク各社が開発している最先端の専門技術であり、ARKitを用いた開発によってARをiOSデバイスで利用できるようになる。最新のハードウェアと統合されたこの開発キットは、iOSデバイスでかつてない水準のAR統合を実現する。

 本記事では、AppleのAR開発フレームワークARKitに関する情報を紹介する。

概要

  • どんなものなのか:iOSソフトウェア開発キット(SDK)に含まれているフレームワークだ。開発者はこのフレームワークを使って拡張現実アプリを作成し、iOSデバイスのハードウェア機能やソフトウェア機能を利用できる。
  • なぜ重要なのか:拡張現実は仮想現実と同様に、テクノロジー分野で大きな話題となっている。ARアプリでは、仮想の物体を現実の空間に重ねて表示して、操作できる。ARアプリは特に、ゲーム、ショッピング、産業の分野で人気になるだろう。
  • 誰が影響を受けるのか:ARKitはiOS 11に初めて搭載されて以来、iOSのすべての新バージョンに含まれている。開発者はアプリ内でAR体験を作り出すことができるが、ユーザーはARKitアプリをiOSデバイスにダウンロードして使用できるため、ユーザーにも影響があるといえる。
  • いつから利用できるのか:ARKitは、2017年6月のWWDC 2017でベータ版がリリースされ、「Xcode 9」の一部として開発者に提供された。ARKitアプリは、米国時間2017年9月19日にiOS 11がリリースされて以来、「App Store」で消費者に提供されている。

どんなものなのか

 ARKitはXcodeに含まれる拡張現実フレームワークで、「iPhone」と「iPad」に対応している。開発者は画面上のカメラを仮想の物体と融合させて、デジタルオブジェクトを現実世界に重ね合わせ、ユーザーはそれらのオブジェクトと現実の空間でやりとりできる。

 ARKitはiOSデバイスのカメラによって周囲の地図を作成し、「CoreMotion」データを使用して、物理空間内にあるテーブルの天板や床などの物体、デバイスの位置を検出する。ユーザー側でのキャリブレーションは必要ない。この点はAR分野における画期的な進歩だ。

 ARKitは比較的最近のiPhoneとiPadの大半のモデルに対応している。「SceneKit」統合などの「Metal」機能を利用できるほか、UnityやUnreal Engineなどのサードパーティーツールとの統合も可能だ。

 エンドユーザーの視点から見ると、iOSデバイスでの現実世界との統合が、かつてないほどの水準で実現する。アプリ内でのショッピング中に自宅に家具を配置する機能や、夢の自動車をガレージ内に表示してうまく収まるか確認する機能を備えたアプリが登場しており、開発者がまだ発見していないARの独創的な用途が、今後も多数出てくるだろう。

 AppleはARKitを使用する「Swift Playgrounds」チャレンジを開発した。Swift PlaygroundsアプリはApp StoreからiPadにダウンロード可能だ。開発者とエンドユーザーはこれらのARアプリがどのように開発され、使用されるのかを学ぶことができる。

なぜ重要なのか

 ARはここ数年で大きな注目を集めている技術だ。ARKitは、この技術がすでに定着しており、今後も成長するアプリ分野になることを裏付けている。ゲーム以外の分野で利用されるARが、大きな変革をもたらすことになるだろう。

 ARKitアプリはまだ登場から間もないが、ARKitで開発できるアプリは、本当の意味での可能性を秘めている。Appleが提供するこのフレームワークは、過去にARアプリ開発に使われていたものより格段に優れている。専用のARアプリを開発する必要がなくなり、このフレームワークを使ってアプリ内にAR機能を作成できるようになった。過去にARを扱った経験がなくても問題ない。

 「iPhone X」は、Appleが作り出した真のARデバイスだ。搭載する高性能カメラは、顔追跡機能や、高精度の位置検出とトポロジー検出に対応している。

 将来的には、産業労働者、医療従事者、科学者などの技術専門家が、重要な情報を現実世界の場所に重ねて表示させるアプリが登場するかもしれない。

どのデバイスとアプリでサポートされるのか

 ARKit対応のデバイスは、Appleの「A9」「A10」「A11」またはそれ以降のプロセッサーを内蔵し、iOS 11以降を搭載するiPhoneとiPadだ。これらのデバイスは、高度なMetalグラフィックスを実行するために必要になる。リリースの時点でARKitをサポートしていたアプリは、ほとんどがゲームカテゴリーに属するものだったが、ARを扱う開発者が増えるにつれて、有用なアプリの数が増えていくだろう。

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