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「Raspberry Pi 4」18台構成のクラスター--raspberrypi.orgサイトのホスティングに利用

raspberrypi.orgサイトの大半をホスティングすることを目的に「Raspberry Pi 4」18台で構成されたクラスターが構築された。

 raspberrypi.org公式サイトは稼働が過去最高となった日、「Raspberry Pi 4」コンピューターで構成された1000ドルに満たないクラスターを使って大半がホスティングされていた。

 新たにリリースされた4GBのPi 4は価格が55ドルで、従来のサーバーハードウェアのほんの一部でしかない。エントリーレベルのサーバーに比べて性能は低く、メモリー容量も小さい。Raspberry PiのサイトをホスティングするISPのMythic Beastsは、サイトの大部分をホスティングするために18枚のPi 4で構成されたクラスターを構築し、Pi 4発売当日の記録的な需要を問題なく処理していたことが分かった。

 Mythic Beastsのディレクターを務めるPete Stevens氏は、米TechRepublicに対し、「昨日はPiクラスターから数百万ページを配信した」と述べた。

 「結果論だが、われわれはクラスターのスペックを過剰に設定していた。『WordPress』ページ全体の処理で本当に必要なPi 4は、4枚程度(さらに2枚は静的なコンテンツ用、もう2枚はメモリキャッシュ用)だった」(Stevens氏)

 このクラスターは全部で72のコンピュートコアと72GBのDDR4 RAMを備え、Mythic Beastsは、消費電力が100W未満で、1/2Uのラックスペースに収まると述べた上で、「サーバーメーカーには脅威になるはずだ」と付け加えた。

 Pi 4は、従来のPiボードと比べてウェブサイトのトラフィックの処理が著しく向上しており、メモリーの追加、「Raspberry 3 B+」の約2.5倍の処理性能のほか、本格的なギガビットイーサネットに対応する。

 Stevens氏によると、Pi 4は単独の専用サーバーとして稼働するのに適しており、仮想マシンの運用に匹敵する価格で、なおかつコンピューティングクラスターにまとめるのに適しているという。

 コンピューティングワークロードを複数のタスクに分割し、それらを並列処理することが可能なら、多数の低速CPUで、少数の高速CPUと同等の効果を発揮できると、同氏は述べている。

 「今なら48ポートのスイッチ(750ドル)と48枚のPi 4(48×55ドル)、そして48個のPoE(Power over Ethernet)HAT(48×30ドル)を約5000ドルで購入できる。これは『Arm』コア192個分の金額だ。従来のサーバーの世界なら、これと同じ金額で32個のIntelもしくはAMD製のコアが手に入ってラッキーということになる。したがって、マイクロサービスを稼働しているユーザーなら、Raspberry Piから間違いなく優れた価値を引き出せるだろう」(Stevens氏)

 「問題は、『Pi 4が5000ドルのサーバーの代替品になるのか?』ではなく、『現在、5000ドルのサーバーを使用しているアプリケーションのなかで、500ドル未満のPi 4ハードウェアで実行するために簡単に修正できるものはどれか』だ」(Stevens氏)

 Armベースのサーバーを提供しようという従来の取り組みはIntelの市場シェアに大きな影響を与えておらず、実世界での配備には依然として大きな障害があるという人もいる。その一方で、Stevens氏は「十分優れた」テクノロジーが最終的に勝利するだろうと指摘した。

 「歴史は繰り返す。MicrosoftとLinuxは安くて十分優れたものを絶えず改良することで、DECやSun、IBM、HP、SGIの支持を取りつけた」(Stevens氏)

キャプション
raspberrypi.orgの大半をホスティングするのに使われているPi 4クラスター
提供:Mythic Beasts

 ただし、いくつか注意点がある。raspberrypi.orgサイトに関連するすべてが、Pi 4クラスターを使ってホスティングされているわけではないからだ。

 「われわれは、スタック全体をPi 4に移行したわけではない。フロントエンドのロードバランサー、ダウンロードおよびaptサーバーはPi以外のハードウェアのままだ」と、Stevens氏はブログ投稿で述べた。ただし、「Pi 4のハードウェアは、それらの役割を引き継ぐのにも十分適しているように見える」とした。

 現時点で、Mythic Beastsが公式サイトのより多くの部分をPi 4クラスター上でホスティングするのをとどまらせている主な課題は、ネットワーク接続ストレージ経由でPi 4のブートをサポートしていないことだ。これは、今後のファームウェアアップデートによってPi 4に追加されることになっている。こうした理由から、Mythic BeastsはPi 4クラスターが、既存のSDカードストレージではなく、「書き込み信頼性が高く、書き込み寿命の長いエンタープライズSSD上でミラー化されたストレージ」を使えるようになるまで、同サイト用のデータベースをPi 4に移行するのを見合わせている。

 Stevens氏によると、Mythic Beastsはraspberrypi.orgサイトでトラフィックが集中するほとんどの部分をPi 4でホスティングしたいとさえ考えているという。

 「トラフィックの大半は、OSのダウンロードから発生しており、この部分は現在もIntel製ハードウェアを使っている」(Stevens氏)

 「この部分をRaspberry Pi 4に移行するのは比較的簡単にできると思う。ただし、現時点でわれわれの『Power Over Ethernet』スイッチは1Gbpsのアップリンクしか対応しておらず(『Pi 3』の場合はそれで問題なかった)、したがって、Pi 4をコンテンツサーバーとして配備できるようにするために、ネットワークの再設計とアップグレードを実施する必要がある。これらは、Pi 3クラウドの設計には高速すぎた」(Stevens氏)

 raspberrypi.orgではPi 4発売日にアクセス障害が発生しているが、これにはCloudflareの障害が関係しており、同障害によってAmazonやFacebookのサイトやサービスもダウンしていることも注目に値する。Mythic Beastsによると、Cloudflareのサービスは、raspberrypi.orgのコンテンツ配信を加速するために使われているという。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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