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アップルの開発プラットフォーム「Project Catalyst」--「iOS」アプリを「macOS」向けに

アップルの開発者向け新プラットフォーム「Project Catalyst」は、より簡単な方法で、「iPad」向けに開発した「iOS」アプリを「Mac」でも使えるようにすることを可能にする。

 米国時間6月3日に開幕したAppleのWorldwide Developer Conference(WWDC)において、大いに期待されている開発者向けの新プラットフォーム「Project Catalyst」が同社の幹部らによって披露された。このプラットフォームを使用することで、開発者はより簡単な方法で、「iPad」向けに開発した「iOS」アプリを「Mac」でも使えるようにすることが可能だ。

 Project Catalyst(旧開発コード名:「Project Marzipan」)は、「macOS」の最新版である「Catalina」を使用することになる1億人を超えるアクティブなMacユーザーに向けて、アプリを提供したいと考えているiOS開発者の作業を容易にする。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントCraig Federighi氏は基調講演の中で、開発チームはCatalystを使うことで、「iPhone」からiPad、そしてMacにわたって動作する単一のアプリを構築することができると述べた。これにより、Appleのエコシステム全体で統合されたアプリのサポートの可能性がさらに開かれる。

 Catalystが登場する以前、iOSアプリはMac上で動作することはできず、その逆も不可能だった。これは、それぞれのOSがベースとしている枠組みの違いによるものだが、米TechRepublicの姉妹サイトである米CNETは、iOSが「UIKit」のみに依存していたのに対し、macOSは「AppKit」を使用していたと説明している。新たなプラットフォームは、UIKitの要素をmacOS Catalinaに導入することで、iOSアプリをMac上で実行できるようにしている。

 「それは非常に重要だ。なぜなら、開発者が一度コードを書けば、ほとんどのAppleデバイス向けに提供できるようになるからだ」とConstellation Researchの創設者兼プリンシパルアナリストRay Wang氏は米TechRepublicに語った。「これが未来の姿になっていくだろう。もしも1000万人のMacBookユーザーにリーチすることを常に望んできたiOS開発者なら、これまでは不可能だったことだ」(Wang氏)

 Appleは、macOS用とiOS用のコードベースを統合するわけではないと明言したが、開発者はあらゆるプラットフォームにまたがって作業することが可能だ。

 Project CatalystはmacOS Catalinaのベータ版と併せて既に提供が開始されている。Appleの幹部らが基調講演で明らかにしたところによると、iOS開発者は、macOSの開発環境である「Xcode」のボックスをチェックするだけで、Mac版アプリの作成を開始でき、これにより、カーソルの制御やパスワードのオートフィルといった基本的な機能を自動的に作成できるという。作成したアプリは、Mac上のエクスペリエンスを改良するためにカスタマイズすることが可能だが、変換作業の大半は、既にXcodeによって実行されている。

 Appleの発表によると、TwitterとAtlassianがCatalystで構築されたmacOS向けアプリを近くリリースする予定だという。

 Forresterのバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストのMichael Facemire氏は米TechRepublicに対し、「開発者は、Project Catalystに注意を払うべきだ。なぜなら、増え続けるデバイス間でエクスペリエンスを構築する開発者の作業を最適化する新たな手段になるからだ」と述べた。「Catalystは、『Progressive Web Apps』を中心とする最新のウェブ革新の考え方を取り入れたものだ。つまり、ひとつのチャネル(モバイル)向けにエクスペリエンスを構築するとともに、ある程度の条件付きロジックを加えることで、デスクトップ上でも実行できるようにする」(Facemire氏)

 Appleのエコシステムに限定して構築される点がCatalystの当面の課題となるだろうと、Facemire氏は指摘した。

 Facemire氏はまた、「iOS開発者は、Mac上で実行するために自分が開発したアプリを移植できるようになり、Androidアプリも『ChromeOS』上で動作することが可能だ。一方で、『Windows』はどうだろうか」と続けた。「主要なモバイルプラットフォームと3大デスクトッププラットフォームすべてを対象にした、チャネル横断的なエコシステムのサポートを企業が本当に望むなら、ネイティブな構築方法にまだ余地があるだろう」(Facemire氏)

 また、前述のWang氏によると、Catalystの登場によって、類似のプロジェクトが生まれる可能性が高いという。

 Wang氏は、「こうしたことがXcodeで増えていくだろう」と述べた。「より多くのAppleデバイスに対応することがはるかに容易になるだろう。もし、何かを身に付けたいのであれば、このことは、将来的にほぼすべてのAppleデバイスにアクセスできるようになるための重要なポイントになる」(Wang氏)

 macOS Catalinaの一般提供は2019年秋に開始される予定だ。開発者は現在、ベータ版が利用できる。もっとも、開発者は既存のアプリのアップデートや新規アプリの開発に取り組む必要があるため、Catalystで開発されたアプリが「Mac App Store」に登場するようになるまでに、まだしばらく時間がかかると、米CNETは述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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