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MSの「AI for Earth」--「Azure」やAIを活用した環境プロジェクトを後押し

マイクロソフトの「AI for Earth」は、環境問題の解決に人工知能(AI)を活用することを目的としたプログラムだ。

 MicrosoftのプレジデントBrad Smith氏は、2019年4月のあるブログ投稿で、データが「低炭素社会に向けた当社の取り組みや世界的な移行にとって不可欠だ」と述べた。

 ありとあらゆる兆候が、地球が気候変動による危機に直面していることを示すなか、幸いにも、そのような危機の解消に役立つツールやテクノロジーが存在する。ビッグデータとともに、それをすぐに利用できる情報に変換するために必要な機械学習や人工知能を組み合わせることで、環境問題の解決が後押しされる可能性がある。もちろん、私たちがそれを利用すればの話だ。

 Microsoftの狙いは、科学者や環境研究者向けに高性能AIおよび機械学習テクノロジーのアクセスをより実践的なものにすることだ。同社が2017年に「AI for Earth」プロジェクトを始動した理由はそこにある。AI for Earthの創設からわずか2年間で、同社が助成金を支給したチームは63カ国、230件を上回る。対象とする研究分野は、気候変動、農業、生物学的多様性、水の4つだ。

 助成金は、AI処理向けの大規模データセットの準備を支援するデータラベリングサービス、そして「Microsoft Azure」が利用できるコンピュータークレジットの2種類がある。助成金の希望者は、どちらか1つ、あるいは両方のタイプに申し込むことができる。

 Microsoftは、AI for Earth専用のAPIを既に2つ構築済みで、さらにほかのAPIの開発を進めていることを明らかにした。現在使用できるのは、土地被覆APIと空間分類APIである。この2つのAPIは、使いたい人が誰でも利用できるようになっている。

AI for Earthプロジェクト

 これまでに支給した助成件数は230を超え、膨大な数のプロジェクトが地球規模で展開されている。野生の生き物の写真を撮影しAIに分類してもらうために一般の人が使用できるアプリから、アフリカの密猟対策や、天然資源の保護にAIを活用するアイデアなど、多岐にわたる。

 なかでも、「FarmBeats」は、2015年から続いているプロジェクトで、AIやエッジコンピューティング、IoT技術を使った農業の生産性向上に取り組んでいる。FarmBeatsの狙いは、農家から手作業を引き受けてノウハウを収集するエンドツーエンドのプラットフォームを構築することだ。FarmBeatsは、センサーや自動操縦のドローンを使用することで、効率的な作付けに必要なツールを農家に提供し、少ないリソースで収穫量の向上を目指している。

 「Project Premonition」は、ドローンなどの自動化されたロボットを使って蚊を見つけて捕獲し、遺伝子配列を解析することで、マラリアやジカ、エボラのような病気のまん延を防止するためのプロジェクトだ。蚊が生息している可能性のある場所をドローンでマッピングし、ロボットを配備して蚊を捕獲する。捕獲した蚊は研究施設に運び、科学者がそれらの遺伝子配列を解析する。解析のために集められたデータは、特定の病原菌に的を絞ったものではなく、代わりに、蚊が吸血した動物の種類や、病原菌にさらされている可能性などの情報を科学者にもたらす。

 「SilviaTerra」はAI for Earthの助成金を使って、森林保全の効率化を目指している森林専門家向けに一連のツールを開発した。SilviaTerraのソフトウェアは、森林の密度を予測する人工衛星の画像処理に基づいて構築されたもので、現場の科学者のためにルートを最適化したり、使用機器の一覧を管理したりすることで、森林マッピング作業をより効率化する。

重要なデータを一元化

 科学はデータを生み出す。しかし、それらのデータを並べ替えたり、有効なデータに変換したりするのは困難なこともある。しかも、使用可能なデータが膨大な量になると、特に、データを必要とする可能性のあるユーザーがすべてのデータを使用できると限らない場合、事態はもっと深刻になる。

 AI for Earthは、一歩進んで、逆にアクセスできない可能性がある組織を対象にサービスを提供し、Azureクラウドを通じて世界各国の政府系研究機関から収集したデータを一元管理することで、この問題を解消している。

 さらに、データのラベリングに応募した助成金の希望者が独自のデータをMicrosoft Azure上でパブリッシュすることで、他の研究者が利用できる仕組みになっており、地球をよりよくするためのツールにAIを変えるために必要な知識ベースをさらに拡大する。

 調査は時間がかかるものであり、したがってAI for Earthのようなプロジェクトの成果がすぐに利用可能となるわけではない。それでも、AI for Earthがホスティングする全データと、これまでに立ち上げられたすべてのプロジェクトがあれば、インパクトを生み出すために必要なデータを探している科学者にとって、Microsoft Azureが目指すべき場所になる可能性がある。


提供:Cass Settlemyre, Getty Images/iStockphoto

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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