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「ラズパイ」スタイルのNVIDIA「Jetson Nano」--AIタスク向け高性能ボード

自作のガジェットや家電製品のプロトタイプに機械学習を使ってみたい開発者に、低価格でパワフルな選択肢が新たに登場した。NVIDIAが発表した「Jetson Nano」だ。

 自作のガジェットや家電製品のプロトタイプに機械学習を使ってみたい開発者に、低価格でパワフルな選択肢が新たに登場した。NVIDIAが発表した「Jetson Nano」だ。

 99ドルの「Jetson Nano Developer Kit」は、機械学習モデルの実行向けに設計されたボードで、コンピュータービジョンなどのタスクを実行するのに使用できる。

 NVIDIAが公開した映像からは、同ボードを使用し、CCTVストリームによってキャプチャーされた人や車を強調表示し、1080p 30FPS×8ストリームのリアルタイム物体検出機能を同時実行し、フル解像度で動作するResNetベースのモデルを使って、毎秒500メガピクセルのスループットを処理する様子がうかがえる。

 この小型ボードは、ArmベースCPUとNVIDIA製GPU(「2014 Maxwell」アーキテクチャーをベース)を搭載することで、472 GFLOPSの演算性能を実現し、消費電力は5ワット程度に抑えられている。

 NVIDIAが公開した一連のベンチマークを見ると、Jetson Nanoはさまざまなコンピュータービジョンモデルを実行する際の性能が競合製品を上回っているのが分かる。結果は、Jetson Nanoが35ドルの「Raspberry Pi 3」(モデル名は不明)、90ドルの「Intel Neural Compute Stick 2」を使ったPi 3、新たに発売されたボード「Google Coral」をいずれも上回った。Google Coralには「Edge TPU」(Tensor Processing Unit)が採用されている。上記のテストは、物体検出機能、分類、姿勢推定セグメンテーション、画像処理などさまざまな機能を対象に実施された。特にJetsonは、訓練された「ResNet-18」「ResNet-50」「Inception V4」「Tiny YOLO V3」「OpenPose」「VGG-19」「Super Resolution」「Unet」の各モデルで推論を実行したところ、卓越した性能を示した。

 Jetson Nanoは、機械学習モデルを数多く実行できる唯一の小型ボードで、他のボードでも実行できる一部の機械学習モデルについても、概して、ライバルを数倍上回る性能を叩き出している。

 NVIDIAの自律マシン向けプロダクト担当シニアマネージャーを務めるJesse Clayton氏は、米TechRepublicの姉妹サイト米ZDNetの取材に対し、Jetson NanoのGPUは、GoogleのEdge TPUで採用されている特定用途向けプロセッサと比べ、より広範な機械学習モデルを実行することが可能だと話している

 とはいえ、Jetson Nanoの完勝というわけではない。300×300解像度の画像を処理するように訓練された「SSD Mobilenet-V2」モデルの実行では、GoogleのCoralボードがJetson Nanoに勝っている。Coralは48FPSのフレームレートで実行できたのに対し、Jetson Nanoは39FPSだった。

 上記のテストは、NVIDIAが提供したベンチマークでもある。その点、Coralボードを対象とするGoogle独自のテストにおいて、Google側は「電力効率の優れた方法で、MobileNet v2を100FPS以上の性能で実行」できると主張している。また、ネット上では、Google Coralの所有者から、MobileNet v2の実行においては、Google CoralがJetson Nanoを凌ぎ、NVIDIAの主張を大幅に上回る性能を発揮するはずだ、とする投稿も出始めている

 Jetson Nanoは、機械学習モデルの訓練にも使用でき、GoogleのEdgeボードと比べて優位に立っている。なお、GoogleのEdgeボードを使用する場合、コンパイルの際に、作成したモデルをGoogleにアップロードすることが求められる。一方、Jetson Nanoは、その価格を考えると、訓練性能が限定されている可能性が高い。これは、特にPC向けのより高価なGPUやクラウドベースのGPUアレイを使用する場合と比較した場合に顕著である。NVIDIAも、訓練は、「結果が出るまで時間がかかっても待つのが苦にならない」人が実行すべきだと述べている。

 Jetson Nanoは、64ビットのArm製CPUをベースに構築されており、128コアのNVIDIA製GPUが統合され、4GB LPDDR4メモリを搭載する。

 また、新たにリリースされた「JetPack 4.2 SDK」はデスクトップ向けの完全な「Linux」環境を同ボード上でも再現する。これは、「Ubuntu 18.04」をベースとしたもので、ほかに「NVIDIA CUDA Toolkit 10.0」と、「cuDNN 7.3」「TensorRT 5」などのライブラリがOSにバンドルされる。

 同SDKには、「TensorFlow」や「PyTorch」「Caffe」「Keras」「MXNet」など人気のオープンソースMLフレームワークとともに、「OpenCV」「」ROS」などのコンピュータービジョンとロボティクス開発のためのフレームワークをネイティブインストールする機能も含まれる

 NVIDIAによると、Jetson Nanoは、実装ポートやGPIOヘッダーを介して、3D印刷が可能な深層学習プロジェクト「JetBot」をはじめとする、さまざまな周辺機器と接続することが可能だという。同プロジェクトは、NVIDIAがGitHub上でソースを公開している。同時に、「Raspberry Pi Camera Module v2」もサポートされており、同ボード上のMIPI CSI-2ポートに接続できる。

 Jetson Nanoで機械学習を始める人向けに、NVIDIAは「Hello AI World」を提供する。同社によると、新規ユーザーはこのガイドを使用することで、学習済みのリアルタイム画像分類や物体検出機能を最大「2時間」、同ボード上で動作させることができるという。

 Jetson Nanoを完成品に組み込みたい企業は、70mm×45mmのシステムオンモジュール(SOM)フォームファクターで購入できる。

 260ピンのSODIMM形式SOMの出荷は、2019年6月に出荷開始予定。価格は129ドル(1000個注文時の単価)。製造向けの演算モジュールには16GBのeMMCオンボードストレージが搭載され、拡張I/OによるPCIe Gen2 x4/x2/x1、MIPI DSI、追加GPIOなどが含まれる。

Jetson Nano Developer Kitボード
Jetson Nano Developer Kitボード
提供:NVIDIA

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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