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「Orange Pi 3」レビュー--残念な使用結果となったラズパイ競合ボード

「Orange Pi 3」は、35ドルの新しいシングルボードコンピュータだ。スペックは「Raspberry Pi 3 Model B+」と遜色ないものの、「Ubuntu 16.04」を使ったテストの結果は思わしくなかった。

 ほとんど使い物にならない低価格コンピュータに意味はあるのだろうか。

 筆者がこの疑問を感じたのは、35ドルの新しいシングルボードコンピュータ(SBC)である「Orange Pi 3」のテストを終えた後だ。同端末のスペックシートでは、「Raspberry Pi 3 Model B+」の性能を上回り、CPUとGPUはさらに高速で、より大容量のメモリを搭載し、4Kディスプレイを使用可能とされている。

 問題は、そうした理論上の高性能を引き出すのが難しいことだ。提供されたソフトウェアにバグが多すぎて、基本的な機能すら満足に動作せず、不具合もある。市場には不安定な低価格シングルボードコンピュータがあふれており、数少ない安定したプラットフォームを提供するというRaspberry Piの役割が、今回の体験によって大いに際立つことになった。

 筆者はOrange Pi 3で利用可能な「Ubuntu 16.04」デスクトップOSのバージョンを使用して、同ボードの2Gバイトモデルをテストした。

 Orange Pi 3の第一印象は良好で、ほぼ瞬時に起動し、Wi-Fiネットワークを問題なく検出して接続した。

 問題が起き始めたのはその後だ。最初の兆候は、デフォルトの「Firefox」ブラウザを実行したときに現れた。

 最新のニュースサイトを開き、いつものように大量のJavaScriptがバックグラウンドで読み込まれると、Raspberry Pi 3 Model B+よりも高速なコンピュータとは感じられなくなった。

 使えないわけではないが、スクロール時の動作が低速で遅延が多い。かつてRaspberry Piに標準搭載されていた旧式のウェブブラウザ「Epiphany」を思い出した。

 現在Raspberry Piで利用可能な「Chromium」ブラウザは比較的高速に動作するのに対し、Orange Pi 3でのウェブ閲覧は不満が多かった。

 精彩を欠くパフォーマンスは、合成テストの結果にも反映されている。ブラウザのJavaScript処理能力を測定する「Octane」ベンチマークでのスコアは420点。同ボードより低速とされるRaspberry Pi 3 Model B+の約3000点よりはるかに低い。

 しかも、タブを開いたままにしてサイトをバックグラウンドで実行させると、程なくしてブラウザがクラッシュした。

 残念なことに、Orange Pi 3で実行するとOS全体の動作も同様に不安定になるようだ。

 次に、YouTubeにアクセスしてみたが、どの動画も再生できず、読み込めないクリップのバッファリングが延々と続くだけだった。

 それにも気を落とすことなく、マシン上でローカル再生するために1080pの動画をダウンロードした。H.264でエンコードされた.movファイルのテスト動画「Big Buck Bunny」だ。デフォルトの「Parole Media Player」ではこの動画を再生できず、「GStreamer」バックエンドエラーが表示された。バンドルされているもう1つのメディアプレーヤー「VLC」では、開始時にフリーズし、オープニングの黒い画面から先へ進まなかった。

 これは、筆者がOrange Pi 3でUbuntuを使って直面したトラブルのごく一部でしかなく、動作速度を大幅に低下させる問題は山のようにある。今回のテストでは、とにかくさまざまな面が正常に機能しなかった。Bluetoothのサポートに問題があるように見受けられるほか、5GHz Wi-Fiネットワークにも接続できなかった。Linuxシステム管理に精通している人なら話は別だが、筆者はごく単純なアクションでも、表示された最新のエラーメッセージの答えを見つけるのに30分以上かかる。すべてのUSBメモリが読み取り専用としてマウントされるようで、デフォルトではUSBメモリにコピーすることができなかった。ドライブの所有権やファイルのアクセス権を変更しても、ドライブの再マウントや再フォーマットを実行しても、この問題は解決しなかった。さらに、初期状態では、ごく少量のファイルしかSDカードにコピーできなかった。デフォルトのパーティションは使い物にならないくらいサイズが制限されており、「GParted」などのツールでサイズ変更が必要だ。

 こうしたすべての問題を解決するために、OSのソフトウェアパッケージをアップグレードして、状況が改善するかどうか確かめてみた。

 だが、アップデートプロセスに問題があっただけでなく、グラフィカルソフトウェアインストーラが、ボード上にストレージが残っていないという誤ったメッセージを表示した。ターミナルでアップデートとアップグレードを実行した後にOrange Pi 3が起動しなくなり、クリーンインストールが必要となった。

 競合他社のボードがRaspberry Piほど洗練されていないのは、予想されることだ。多くのボードは比較的小規模なチームで作られており、現代のコンピュータユーザーが期待する安定性を保証するのは難しい。

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