1年前、ヨーロッパに本拠地を置く出版社兼マーケティング会社のI-Scoopは、2017年が「モノのインターネット(IoT)が消滅する年になる」としていた。同社のサイト上には「真の有用性の古き良き原則が、必要もなく欲しくもないアプリケーションや『スマートな』デバイスによって無視されがちになっている」と書かれていた。
きつい言葉であることには違いないが、以前も述べたように、筆者はこの言葉の一部は真実だと考えている。
とはいえ、IoTの結果に陰の側面があるのだとしたら、目的を持ったIoTが光を放ち、企業が恩恵を受けるような明るい側面もたくさんあるはずだ。中でもひとつ紹介したいのは、食品業界における進化である。2015年のある調査によると、同業界では食品ロスによって1年間に1600億ドルもの無駄が生じているという。
食品サプライチェーンに向けたテクノロジソリューションを提供するZest LabsのCEOであるPeter Mehring氏は、「収穫後の食品廃棄は今でも30~40%にのぼる。そのうち半分は、食品が消費者に届く前に廃棄されている」と話す。Mehring氏によると、実際に無駄があまりにも多いため、食品小売店の標準的な慣習として、38ポイントの商品利益マージンのうち15ポイントは、食品の廃棄と劣化を理由として自動的に落とすよう計算するという。
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