AI・機械学習

「Alexa for Business」入門--アマゾンの企業向け音声アシスタントサービス

「Alexa for Business」は、アマゾンの音声アシスタント「Alexa」をビジネスに活用するサービスだ。業務を効率化するさまざまな機能が用意されている(2017年12月21日公開、2021年6月10日更新)。

 しかし、Amazonは単に企業が複数のAlexaデバイスをオフィスのさまざまな場所に設置できるようにするわけではない。同社は、エンタープライズレベルのセキュリティと管理容易性のモデルを備えている。IT部門が手動で1台1台のデバイスを設定することなく、多数の共有デバイスを同時にセットアップできるようにするエンタープライズデプロイメントツールもある。

 従業員が企業の共有Alexaデバイスを利用できるように職場に申し込むためのユーザー登録ツールもある。従業員は自分個人のAlexaのスキルや設定をAlexa for Businessに引き継ぐこともできるので、例えば、自分のSpotifyプレイリストをオフィスのデスクで再生する、といったことも可能だ。ユーザー登録は双方向に機能する。すなわち、登録を完了したユーザーは、Alexa対応デバイスを持っている限り、Alexa for Businessのスキルに自宅からアクセスできる。


提供:Amazon

どのように職場を変革するのか

 IT部門は、会議室でビデオ会議やオンライン会議に接続して、「PowerPoint」を使えるようにするというプロセスを合理化することに長年努めてきたが、そのプロセスは未だにやってみなければ分からないような状態だった。従業員が会議室に入室して、「Alexa、午後2時の電話会議に接続して」と言うだけでそれが滞りなく実行されるシナリオを実現できれば、Alexa for Businessは多くの組織で大きな支持を得られるだろう。

 多くの企業では、それだけでもAlexa for Businessを導入する十分な理由になるはずだ。しかし、Amazonが同サービスにかける野望は、それよりもはるかに大きい。Alexa for Businessのプロモーション動画を見れば、同社が会議室だけでなく、企業の建物内の廊下や公共スペースにもEchoデバイスを提案していることが分かる。しかし、何にもまして、AmazonはEchoデバイスが全てのデスクに設置される未来を思い描いている。それが実現すれば、従業員は自分の声を使って、基本的な業務を合理化し、同時に複数の仕事をこなせるようになる。

 Amazonのビジョンにおける最大の課題は、非常に多くの企業がオープンコンセプトのワークスペースへの移行を進めていることだ。Alexaを各デスクに配置する戦略は、そうした環境ではうまくいかないだろう。なぜなら、1つのウェイクワード(Alexaを起動させるためのフレーズ)で、何台ものデバイスが同時に起動してしまう可能性があるからだ。オープンな環境でAlexaに話しかけて音声でフィードバックを得るのは、無礼で規律を乱す行為とみなされる可能性もある。それをやると、近くにいる人が作業に集中できなくなるおそれがあるからだ。

 オープンなオフィス環境でAlexaを使用する次善策としては、AmazonのAlexa搭載ウェアラブルデバイスの使用が考えられる。「Echo Frames」スマートグラスと「Echo Buds」はいずれも、音声ではなくタッチやハンドジェスチャーでAlexaを起動できる。これなら、別のデバイスを起動してしまう問題を解決し、Alexaのフィードバックを受け取る際に他の人の作業の邪魔をしてしまうことを減らせるかもしれない。

 Alexa for Businessは、リモートワーカーや分散型の企業にとって貴重な資産になる可能性もある。COVID-19のパンデミック下で、同社は「Zoom Rooms」やLifesizeとの新しいハンズフリー統合を発表した。また、先述のユーザー登録機能により、企業はオフィス機能を従業員の自宅に拡張する機会を得られる。

 ビジネス界がパンデミック後の現実に慣れていく中で、ハイブリッドワークやリモートワークが今後も続く可能性は高い。したがって、Alexa for Businessはオフィスと自宅の両方において、個人用デバイスと共有デバイスで継続的に使用されるようになる可能性がある。


提供:Amazon

どんな組織が使用を検討すべきなのか

 スマートオフィスを作り出して生産性を高めようとしている組織にとっては、Alexaが電話会議やバーチャル会議、プレゼンテーションを合理化する機会によって、Alexa for Businessがオフィス内のデジタル変革計画における重要な柱となるかもしれない。

 Alexaを既に家庭でうまく取り入れているプロフェッショナルの場合、職場でもAlexaを使って音声で同様のタスクを処理する機会へと移行するのは容易かもしれない。これは、多くの企業が「iPad」を導入してきた経緯によく似ている。

 そして、オフィス(あるいは、十分なスペースのある個人用ワークスペース)を持つ労働者にとって、Alexaを職場の自分のデスクに設置して、タスクやカレンダー、レポート、会議、リマインダーを管理する機会は、自然に生産性を高める手段になるかもしれない。

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