多様な人材を確保し、十分に能力を生かせる職場環境や人事制度を提供する――。日本企業が進める“働き方改革”とダイバーシティ(多様性)は有能な人材をより多く獲得するという意味では、欠かすことができない。特に、ライフスタイルの変化に働き方が呼応する女性が活躍できるための施策は、優秀な人員確保のために重要な課題となっている。シフト制で勤務する技能職の女性社員に対して施せる最適な人事制度とは何か。
リクルートマネジメントソリューションズは11月6日、「RMS Forum 2017~変化への適応を主導する人事」と題したセミナーを開催。「ダイバーシティ 2.0と働き方改革の進め方」と題して、トヨタ自動車の人事担当が登壇した。
リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント 山本りえ氏によると、女性活躍の捉え方には2軸あるという。ひとつは女性のキャリア開発による“質の向上”、もう一つは女性の就業継続による“量的拡大”だ。人事が量的拡大に取り組み、育児休業や時短勤務により社会に出る女性の数が増えた結果、経験格差がカバーできず“質の向上”が伸びていない現実が生まれていると語る。
山本氏は女性活躍推進施策のフレームワークを挙げ、“ライフイベントを乗り越えられる見通し”“将来の見通し”“長く働ける職場環境”“やりがい、成長実感”について、女性社員から不足していると声が上がらないよう取り組むべきだと語る。
「2001年から男女の経験格差が課題になり、2010年からは企業間格差が目立ち始めた。女性管理職比率を目標に女性の持続的成長に向けた施策を進める上で時間や場所の拘束性が課題となっている」(山本氏)と施策の歴史と課題を述べた。
山本氏は「どこでも行く、いつでも働く、何でもするといったフルコミットメント社員が活躍できる仕組みの企業が多いが、今後、この働き方ができる社員はかなり減り、立ちゆかなくなる」と予測する。
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