規模の大きさに関係なく、企業で“働き方改革”が議論されている。経営者や人事部門などにとって喫緊の課題となっているが、実際はどこまで“働き方改革”は進んでいるのだろうか――。
リクルートマネジメントソリューションズは11月6日、「RMS Forum 2017~変化への適応を主導する人事」と題したセミナーを開催。「“働き方改革”成功の舞台裏」セッションには味の素、日本電産、ヤフーの人事担当が登壇した。
セミナーの司会を務めるリクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 所長 古野庸一氏が働き方改革の目的や取り組み、阻害要因を解説した。
古野氏によると働き方改革の目的には3つの視点があるという。「長時間労働を是正するという社会的視点、それにより働きやすさや満足度が上がるという従業員の視点、そして採用力が強化される企業的視点と3つがある。これらは歴史的にもつながっているが複合的であるがゆえにあいまいになる。気を付けるべきポイントだ」と、同社が161社から回答を得た調査データを挙げて語った。
働き方改革についての取り組むテーマは6つあると古野氏は述べる。労働時間の短縮・処遇の改善、ダイバーシティ促進、ワークライフバランス、柔軟な働き方、生産性の向上、キャリア開発の6つだ。
「例えば、残業禁止・早帰り推奨という施策は85.7%の企業が行っている。一方、副業や兼業の許可、促進については8.1%の企業しか取り組んでいない。施策が色々あるが、実施率は非常にまばらだ(古野氏)」
働き方改革を阻害している要因として(1)目的がよくわからない、(2)経営者が本気でない、(3)人事の立ち位置が難しい、(4)事業推進とのコンフリクトがある、(5)社外を含めた商習慣の問題がある、(6)従業員とのコンフリクト、(7)推進しても従業員に還元されない――といった7つが挙げられた。
「社外を含めた商習慣を変えないとどうにもならないという声が最も多く62.1%いる。こういった阻害要因をどう取り除いていくのかが働き方改革を推進する上で大事な問題だ」(古野氏)
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