年間1500億個以上の郵便物を取り扱う米郵便公社(United States Postal Service:USPS)はかつて配達の手配に悩んでいた。郵便物が遅れるという事態が増加していたからだ。
システム的解決策として、データを相対的に小さなチャンクに要約するバッチ処理から複数のソースから流れるデータをほぼリアルタイムで結合するストリームと複雑なイベント処理に移行した。
移行した新しいシステムは、全米の郵便局や処理施設で1万5000人以上のエンドユーザーが同時に接続し、21万3000台以上のスキャン端末からデータを取り込む。同社では、発生したイベントの情報をリアルタイムに取り込むと同時に地理空間データとあわせて分析するようになっている。
郵便物配達を対象にしたリアルタイムのデータ分析で同社は2015年に運転距離を7000万マイル(1億1265万km)短縮、ガソリンも700万ガロン(2650万リットル)節約することに成功した。
USPSが移行したシステムは、(「謎の半導体メーカー」で有名になった)NVIDIA製GPUを前提にしたカラム型データベース「Kinetica」を活用している。
Kineticaの場合、データはストレージにあり、必要に応じてメモリに読み込むが、Kineticaのユニークなところはデータを処理するためにシステムメモリとGPUのグラフィックメモリ(VRAM)の両方を使用する。エンドユーザーからの命令を受けると、データのチャンクはシステムメモリからグラフィックメモリに移動して処理される。
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