7月14日に開催された、“最高デジタル責任者(Chief Digital Officer:CDO)”を中心にしたイベント「CDOフォーラム2017~デジタル変革に挑み、企業競争力に変える」で事例講演に登壇した企業のパネルディスカッションが開かれた。
パネリストの意見から、日本企業のデジタル化を取り巻く環境が見えてきた。登壇したのは以下の通り(モデレーターはCDO Club Japan創立者で代表の加茂純氏が務めた)。
- 日本ロレアル CDO/デジタル統括責任者 長瀬次英氏
- 三菱ケミカルホールディングス 執行役員CDO 岩野和生氏
- 三菱東京UFJ銀行 デジタル企画部 プリンシパルアナリスト 柴田誠氏
- ドーモ クライアントサービス本部長 大山忍氏
- 一橋大学 商学研究科 教授 神岡太郎氏(CDO Club Japan 顧問)
現状打破という企業の考えが必要
――データを瞬時に経営層が把握して課題解決に結び付けるツールは必要か?

ドーモ クライアントサービス本部長 大山忍氏
大山氏 ツールだけでビジネスは劇的に変化しない。重要なのは人や組織。ドーモは組織内で分断したデータを一元化し、ダッシュボードとして経営層から現場までリアルタイムに情報を提供している。データドリブン的な活用視点で見ると「データの価値認識」「横断的戦略」「役員レベルの支援」が必要だ。
現在は「湖に水が豊富にあり、われわれは喉が渇いている。だが飲める水がない」状態に似ている。データは大量にあるものの、マーケティングや購買管理のデータが必要なときに必要なタイミングで入手できない。
これが日本企業が抱える課題。だからこそ人や組織が変化し、必要なデータを入手して改善するアクションできる仕組みが重要だ。
――日本企業でCDOの導入をスムーズに進めるには?
長瀬氏 現状打破という企業の考えが必要。良い製品を作っても、何らかのマイナス要因が見つかるとSNSなどで拡散し、ブランドイメージが低下する。改修して新しい製品を作っても遅い。
だからこそ工程ではなく「顧客の声を聞いてビジネスを始める」とスタート位置を変えた。顧客中心に考えれば、皆スマートフォンを使っているようにデジタル化が必然となる。
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