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マルチクラウド入門--複数のクラウドサービスを組み合わせた運用の利点と注意点

マルチクラウドは、複数の異なるクラウドサービスを組み合わせて利用する手法だ。マルチクラウドの概要、利点、適している企業、導入時の注意点、企業での採用率の動きなどを紹介する(2017年7月20日公開、2021年2月1日更新)。

 「Amazon Web Services(AWS)」の立ち上げから10年以上が経過した今も、Amazonは「先駆者」という立場の強みを活かし続けている。AWSは依然としてマーケットリーダーだが、GoogleやMicrosoftなど、業界の他の大手企業が提供するクラウドサービス(そして他のベンダーの専門的なサービス)がシェアを伸ばしているため、Amazonはクラウド市場の覇権を握れていない。

 その結果、組織や開発者は複数のベンダーのクラウドサービスを利用するようになり、マルチクラウドというふさわしい名前のパラダイムが生まれた。

 本記事では、マルチクラウドプロバイダーを利用する際に把握しておきたい基礎的なことについて簡潔に紹介する。

概要

  • どんなものなのか:複数の異なるクラウドサービスや、専門のPaaS、IaaS、SaaSプロバイダーのサービスを組み合わせて利用する手法のことだ。プライベートクラウドとあわせて、複数のパブリッククラウドコンポーネントを含むハイブリッドクラウドを利用する場合も、マルチクラウドとなる。
  • どのような利点があるのか:マルチクラウドの目的は、選択を可能にすることだ。組織やアプリケーション開発者は、コンポーネントを複数のベンダーから選択できるため、本来の目的に最適なものを選んで使用することができる。
  • どのような企業が採用すべきなのか:一般的には、特定のニーズや依存関係に対処する必要のある組織に適している。
  • どの程度普及しているのか:これはケースバイケースである。組織が成長して、契約中のクラウドサービスプロバイダーの能力を超えてしまったら、別のベンダーのサービスが必要になるかもしれない。
  • どうすればマルチクラウド環境を構築できるのか:相互運用性に関するさまざまな問題が発生しないように、マルチクラウド環境の構築は慎重に計画すべきだ。クラウド管理プラットフォームの使用を推奨する。

どんなものなのか

 マルチクラウドとは、複数の異なるクラウドサービスプロバイダー(AWS、「Google Cloud Platform」「Microsoft Azure」など)のサービスや、専門のPaaS、IaaS、SaaSプロバイダーのサービスを組み合わせて利用する手法のことだ。プライベートクラウド環境とあわせて、複数のパブリッククラウドプラットフォームを活用するハイブリッドクラウド環境を使う場合も、マルチクラウドとなる。

 マルチクラウドをアーキテクチャーの選択肢の1つとして利用する理由はいろいろと考えられるが、最も分かりやすい理由はディザスターリカバリーだ。クラウドベンダーは、冗長性に関するさまざまなオプションやSLAを提供して、稼働時間とバックアップを保証し、データの完全性を確保しているが、そのどちらも、ベンダーのインフラストラクチャー全体で同時に障害が発生することはないという前提の上に成り立っている。

 多くのワークロードは、特定のベンダーに依存しないように構築することができるが(この柔軟性がマルチクラウドの主な利点の1つ)、特定のクラウドプラットフォームを使う方が、都合がいいワークロードもあるだろう。たとえば、「Alexa」スキルを使用するアプリの場合は、関連するAPIがAWSのものであるため、AWSを使うのがいい。同様に、サポートされる言語や自然言語処理機能の水準もクラウドプロバイダーによって大きく異なる。

 米TechRepublic Premiumの「Managing the multicloud」調査では、対象となったIT担当者の約3分の1が、自社で「Google Drive」やSalesforce、「Cloudflare」といった専門のアプリケーションまたはソリューションプロバイダーを利用していると回答した。これらはクラウドプラットフォームというよりもサービスに近い。パブリッククラウドのケースのように、同様の企業と重複する機能もあるものの、通常クラウドコンピューティングと関連付けられる一般的なコンピューティングワークロードは、これらの製品ではサポートされない。

どのような利点があるのか

 マルチクラウドの主な利点は、組織やアプリケーション開発者がコンポーネントを複数のベンダーから選んで、本来の目的に最適なものを利用できることだ。料理にたとえるなら、マルチクラウドはコースメニューよりもアラカルトに近い。

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