コニカミノルタは3月にドイツ・ベルリンで発表した製品「Workplace Hub」を4月に日本国内でも披露した。ベルリンで開催した会見で同社取締役で代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の山名昌衛氏はWorkplace Hubについて「まったく新しい製品」と説明した。
山名氏が言う「新しい製品」とは誰にとって“新しい”のだろうか。
Workplace Hubは、分かりやすく言うと、プリンタやコピー、スキャナといった機能を統合した複合機(Multi Function Peripheral:MFP)にサーバを統合したハードウェアだ。サーバはHewlett-Packard Enterprise(HPE)が開発、提供する2Uのラックマウント型「HPE ProLiant DL 180 Gen9」をカスタマイズして搭載。OSはCanonicalの「Ubuntu Linux」、セキュリティソフトウェアとして統合脅威管理(UTM)の「Sophos UTM」を採用している。オーストリアのBraintribeが提供するデータ分析基盤ソフトウェアも搭載される。

Workplace Hubは同社MFPと同様のデザインが踏襲されている
コラボレーションツールとして「Team Space」が搭載される。Team Spaceは音声や映像での会議、チャットなどの機能が統合された、いわばユニファイドコミュニケーション(UC)。「Microsoft Outlook」や「Gmail」をそのまま使えるとともに、プラグインも用意され、メールのデータをTeam Spaceに統合することも可能だ。ファイル共有機能も利用できる。
Workplace Hubで導入、活用できるアプリケーションは、コニカミノルタ以外の第三者のソフトウェアベンダーが開発したものが提供されるアプリストアサービス「Konica Minolta(KM) Marketplace」から購入できる。
Workplace HubにはWi-Fi機能も組み込まれていて、アクセスポイントも管理できるようになっている。ストレージも搭載されており、同機の内部のストレージにバックアップが取れるとともに、コニカミノルタが運営するパブリッククラウドサービスにバックアップすることも可能だ。オンプレミスとパブリッククラウドのストレージ容量はKM Marketplaceから追加購入で増やすことができる。
サーバやストレージなどのシステム全体はウェブベースの「Admin Dashboard」から管理できる。ストレージの状況管理や搭載されるハードウェアやソフトウェアのライセンス数などのアセット管理、Workplace Hubにアクセスするエンドユーザー管理、セキュリティの状況を一元的に管理する「Traffice Light」などもAdmin Dashboardから確認、設定する。
Workplace Hubの管理は、ユーザー企業に代わってコニカミノルタが遠隔地から監視するといったことも可能だ。コンサルティングや設備追加、ソフトウェアのインストールなどの作業も同社が受け持つこともできる。

ベルリンでの会見に登壇したコニカミノルタ 取締役 代表執行役社長兼CEO 山名昌衛氏
MFP+ITインフラ
ここまで見てきて分かる通り、Workplace Hubはエコシステムが基本だ。エコシステムのパートナーとしてはMicrosoftも参加している。
4月の日本での会見で日本マイクロソフトの執行役員常務でパブリックセクターと働き方改革を担当する織田浩義氏が登壇して、Workplace Hubから「Office 365」が利用できることを明かすとともに、続いてIaaS/PaaS「Azure」やSaaS型のビジネスアプリケーション「Dynamics 365」も提供する意向であることを明かしている。
4月の日本での会見には、シスコシステムズとSAPジャパンも登壇してWorkplace Hubのエコシステムに参加することを表明。シスコは「コラボレーションやセキュリティ、フォグコンピューティング」、SAPは「業務アプリケーションと(IoT向けソフトウェア群)『Leonardo』」(山名氏)の分野でWorkplace Hubにソフトウェアを提供するという。
Workplace Hubは10月からグローバルで順次提供される予定。初期投資なしで月額でのサービス課金で利用できる。Office 365などの料金もWorkplace Hubでの支払いにまとめることもメリットの一つと同社は主張している。