人工知能(AI)という言葉は現在、テクノロジ分野で最もホットなバズワードになっている。AIはコンピューティングの黎明期から存在していたにもかかわらずだ。今、無数のスタートアップが自社の業務内容を説明するためにAIという言葉を用いており、テクノロジ分野のマーケターは、AIを取り入れたブランド戦略を打ち立て、アルゴリズムや初歩的な機械学習などの単純なことが、実際よりはるかにスマートで洗練されたものであるかのような印象を与えようとしている。
IBM Researchのコグニティブコンピューティング(IBMがAIを表すときに使うしゃれた名称)担当バイスプレジデントであるMichael Karasick氏は、「近頃、AIという言葉が意味する範囲は、途方もなく広がっている」と語る。
Karasick氏は、先頃ラスベガスで開催された「IBM InterConnect 2017」でプレゼンテーションを発表し、AIに対するIBM Researchのロードマップについて説明した。Karasick氏のチームの任務は、企業に役立ち得るテクノロジを生み出すことであるため、同チームのアプローチはかなり現実的なものとなっている。皆さんの予想通り、彼らの取り組んでいる多くのことは、煎じ詰めれば、オートメーションやビッグデータに関連する。
Karasick氏は、「われわれがこれらの問題で機械学習を利用するのは、データの量があまりにも多すぎるからだ」と述べている。同氏がIBM Researchで率いるチームは、数学者やシステムアナリストといった人たちをメンバーとして擁している。チームはAIを利用して以下の3つのことを目指す。
- 業務用途に耐え得るソリューションを開発すること
- 人間をより効率的に活用すること
- 価値を生み出すまでの時間を短縮すること
Karasick氏がIBM InterConnectで話したセッション「Looking Ahead: The Future of Artificial Intelligence」(今後の展望:人工知能の未来)では、IBMが既に取り組んでいるさまざまなAIプロジェクトが明らかにされた。本記事では、その中から10個のプロジェクトの概要を簡潔に紹介する。
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