2016年は「人工知能(AI)」「機械学習」「深層学習」といったキーワードを新聞やテレビで大きく報道された。
特に注目されたのが、2016年3月に世界最強とも言われた韓国棋院のプロ囲碁棋士、イ・セドル氏との五番勝負を4勝1敗で勝利した米Googleの囲碁AI「アルファ碁(AlphaGo)」だ。囲碁に関しては、将棋やチェスよりも盤面が広いため、コンピュータがプロ棋士に勝利するのは2030年頃になると言われていた。
しかし、GoogleのAIに特化したグループ企業である英Google DeepMindでは、人間の脳の構造、つまりニューラルネットワークをソフトウェアに使い、デジタル化された膨大な棋譜を学習して経験を積み、強くなる仕組みを取り入れた。
何よりも驚きなのは、アルファ碁が動作するプラットフォームの規模である。Googleのパブリッククラウド「Google Cloud Platform(GCP)」で1200のCPUと180のGPUを使っただけなのだ。クラウド時代において、この程度のリソースはそれほど大規模とはいえない。
2017年はAIを生かしたアプリケーションやサービスが数多く登場し、「人工知能元年」になるとも言われている。実際、インターネットで流れるさまざまな情報を分析して投資信託を自動で運用したり、日本経済新聞社が企業の決算データをもとに自動で記事を作成したりといったサービスが発表されている。
NTTデータは、気象庁の電文を使って気象ニュース原稿を自動作成する実証実験を行っている。日本語の文法は人が読んでも違和感のないレベルで、意味の正しさにおいては多少の修正が必要なものの、ほとんど気象電文と同じ内容の文書を作成できることを確認したとしている。
AIは今後、電気、水道、ガス、インターネットと並ぶ重要なインフラ技術になっていく可能性がある。世界各国で研究開発が活発になっており、米国が数歩先を進み、中国が猛烈な勢いで追いかけている状況だ。出遅れた日本は国家プロジェクトレベルで開発を進めていこうとしている。
機械学習のクラウドサービスが注目を集める
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