「Mac」向けと「iOS」向けのパスワード管理ソフトウェアは数多く提供されているが、Apple製OSに組み込まれた「iCloud Keychain」に並ぶほどのものはない。iCloud Keychainは「iOS 7」で導入された技術だ。Macには「Mac OS 8.6」で初めてKeychainが搭載された。
Keychain(Appleのエコシステムではこう呼ばれることが多い)はAppleのパスワードマネージャだが、他にも多くの機能を備えており、ウェブサイトのパスワードを扱うだけのものでもない。「macOS」内のさまざまな場所のパスワード(FTPサーバ、SSHアカウント、ワイヤレスネットワークのパスワード、暗号化ディスクのパスワード)を保存するほか、各種サービスへのアクセスやAppleの開発者プログラムのアプリ署名に使われる秘密鍵も保存する。また、証明書や秘密メモ、さらには「Safari」のフォーム自動入力機能に保存されたクレジットカード情報も処理する。Keychainはこれらすべての情報を保存しながら、データベースに格納された情報のセキュリティを確保する。
サードパーティーのアプリもKeychainに情報を保存することができる。これこそKeychainが真価を発揮する機能だ。セキュリティの知識があまりない開発者でも、AppleのKeychainのAPIを使うことで、ユーザーのプライバシーを保護することができる。
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