運用管理ツールの歴史は、メインフレーム時代にまでさかのぼる。メインフレームで実行する処理を自動化するジョブ管理やデータバックアップの支援ツールを、主としてメインフレーム各社が提供していたのが始まりである。
その後、業務系システムのオープン化に伴い、さまざまなベンダーが相次いで運用管理ツールの提供を開始した。運用管理ツールが提供する機能には大きく分けて、(1)ジョブやバックアップの自動化、(2)パフォーマンス監視や障害検出と復旧、(3)資産管理とセキュリティ対策――の3つがある。
この記事では、これらの機能をまとめて提供することで運用管理を支援する「統合運用管理ツール」の定番製品を5つ紹介する。運用管理ツールの“流れ”から、国産メインフレームベンダーの製品群が3つを占める。
1.JP1
日立製作所の「JP1」は、1994年に販売を開始して以来、金融をはじめとする各種産業や官公庁など、さまざまな業種と企業規模に導入実績がある運用管理ツール群である。最新版の「JP1 Version 11」では、月額課金で利用できるSaaS「JP1 SaaS」を追加した。
運用自動化、ジョブ管理、バックアップ管理、ITサービス管理、パフォーマンス管理、ネットワーク管理、資産管理、配布管理、セキュリティ管理の各製品を用意。Windows、Linux、UNIXといった各種プラットフォームをはじめ、クラスタ構成、クラウド環境、仮想化基盤といった幅広い環境に適用可能だ。
SaaS型のJP1 SaaSは、環境構築やメンテナンスが不要であり、短期間で使い始められるほか、利用者数や処理量の変化に柔軟に対応できる。サービスのラインアップとして、高速大容量のファイル転送、IT資産管理、配布管理を用意する。
Amazon Web Services(AWS)のIaaS環境でJP1を利用することも可能だ。サーバ環境や環境構築、メンテナンスは、利用企業が管理する。
参考価格は、IT運用を自動化する場合の構成で、ソフトウェア合計が185万3000円、サポートサービス合計が年額49万800円、など。システムの長期安定稼働を実現するサポートサービス「日立サポート360」により、同一バージョンで最低10年間のサポートを保証する。さらに、全国4万人以上のJP1資格認定取得者が、構築作業の支援やシステム変更時のコンサルテーションに対応する。

2.Systemwalker
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