ユーザー企業にとって、業務システムの開発と運用を誰に任せるべきかは、ビジネスの成否にも影響を与える重大な決断といえる。しかし、ITの専門家ではないユーザー企業がシステムインテグレーター(SIer)の力量を正確に測ることは容易ではない。そこで本稿では、ノークリサーチが実施したユーザー企業1300社に渡るアンケート評価をもとに、ユーザー企業がSIerを選ぶ際に留意すべきポイントを探る。
システム構築力を測るための6項目
SIerの力量を測る観点は実にさまざまだ。その中でも業務システムの品質を大きく左右するのが「システム構築力」である。良いシステムを作り上げるための能力といってもいいだろう。
ここで注意すべきなのは、「ユーザー企業が求める機能を何でも聞き入れる=システム構築力が高い」というわけではないという点だ。例えば、パッケージをカスタマイズしてさまざまな機能を無理に詰め込んだ結果、パッケージがバージョンアップされるたびに多額の改修費用を支払っているというケースも少なくない。こうした事態に陥らないためにも、システム構築力を複数の観点から測ることが必要となってくる。
そこで抑えておきたいのが、以下のシステム構築力を測るチェックポイントだ。各項目には、ユーザー企業から見て「良いSIerの例」と「悪いSIerの例」を併記している。現在委託しているSIerが以下の項目において、「良い」「悪い」のどちらに当てはまるかを考えながら見ていただくといいだろう。
多くの場合、SIerは何らかのパッケージ製品もしくは自社開発のシステムをベースとして個々のユーザー企業向けの業務システムを開発運用している。以下に列挙した項目もそうした一般的なケースを想定している。
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