技術に対する知見の蓄積を部門内で高める--CIOに求められる役割

CIOに必要な資質は「先見の明を持ち多様な種を社内にまける」ということ。では、種をまくとは、具体的にどういうことだろうか。そのあるべき姿と重要性を解説する。

 前編では、最高情報責任者(CIO)に必要な資質として「先見の明を持ち多様な種を社内にまける」ということが大切だと説明した。そして、技術の変遷をパースペクティブ(俯瞰的)に見られるように技術に関する知見を蓄えることの重要性も指摘した。

 技術の変遷を俯瞰する目はCIOだけが養うべきものではない。どちらかというと、CIOはそうした視点を持てるように部下を導くのが仕事だ。要するに「種をまく」のである。

 この業務システムの新規構築を1カ月で完成させるにはどうすればいいのか――。2005年のころ、クラウド活用が一般化する以前にそんな課題を与えられたら、業務システムの内容にもよるが、ほとんどの場合、部下は「不可能です」と答えるだろう。それでもなお「検討せよ」と言えば、苦慮しながらもその時の最新技術を研究して「3カ月ならこの方法でできるケースもあります」と提案してくる。

 CIOはそれを却下する。「コストがかかりすぎる」「技術的に不安定な部分が多すぎる」といった理由をつけて。CIOは部下から大いに恨まれる。しかし、多くのCIOはそうした憎まれ役を平気でこなしている。

 以前取材したある事務機器メーカーのCIOは「部下からの提案の9割はすぐに却下する」と答えていた。提案内容が未熟だからかと尋ねると「役員に提案してくるぐらいだから未熟なものはほとんどない。もちろんどんな提案もほとんど覚えている」とのことだった。

 しかし、却下されたとしても課題解決のために蓄えた知見は大きな財産となる。

 ただし、こうした技術に関する「研究活動」はきわめて重要であるにせよ、IT部門スタッフの本業ではない。各スタッフはそれぞれ与えられた業務に日々追われている。CIOは部門リーダーと共同で各スタッフの業務負担をいかに少なくし、将来のための知見蓄積の時間を確保するかも常に意識しておかなくてはならない。

CIO自身が持つべき課題とは何か?

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