社会インフラとしてのネットワーク環境
水道・電気は日常生活に欠かせない社会インフラですが、今日ではインターネット通信も欠かせないインフラとして定着してきています。 2015年に調査会社が調べたデータでは、日本では1人1.6台のインターネットにつながるモバイル端末(スマートデバイス)を利用しているというデータもあるくらい、多くの機器がネットを介して、さまざまな情報を収集したり、逆に配信したりしています。
IoTの活用も今後活発になることが予想されており、ネット上でデータが飛び交うことはますます増えていく傾向にあります。ネットを形成している要素の1つとして、ネットワーク機器やサーバ、ストレージなどを安全に安定稼働させるための拠点であるデータセンターがあります。
ここでは、社会インフラの一翼を担うデータセンターに焦点を当て、データセンターの役割と活用をお伝えしていきます。さまざまな企業内システムの設計、構築、運用を担っている方々に向けて、現在抱えている社内システムとどのように向き合っていくか、検討していただくきっかけになれば幸いです。
ある企業の情報システム担当者の日常
ここで、具体的にデータセンター活用を説明するために、ある企業のIT部門の担当者の日常、起こりうる課題をもとに考えてみましょう。
想定企業プロファイル=従業員数約500人、端末数約1000台
端末は、業務によって偏りはあるものの、ノートPC、スマートフォン、タブレット端末の3種類を使い分けて業務を行っている。営業所は、北は北海道から南は九州まで各主要都市8拠点ほどあり、1拠点あたり十数人で構成されている。非IT企業であり、社員のITリテラシがそれほど高いとは言えないが、業務で利用するシステムは使いこなしている。
その企業のIT部門が抱えているサーバが約30台あり、それを3人で管理、運用している。IT部門は、社内システムの管理、運用の他、ヘルプデスクも兼ねており、ことあるごとにシステムを利用している従業員に呼ばれ、本来一番注力したい社内システムの改善業務が滞ってしまっているのが目下の課題。
人手が常に足りない状態が続いているが、直接利益を生まない間接部門という認識が経営層にあり、なかなか人員を増やすことはできない。
戦略的にIT投資ができず、場当たり的なシステムが増えており、なかには従業員が自分たちの部署の業務効率を上げるために、IT部門が管理していないサーバを社内LAN上で稼働させていたり、SaaSを直接契約して利用していたりする場合もある。
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ある企業の現状のまとめ
- 非IT企業で社員のほとんどはPCやスマートフォンに詳しくない→少しのことでもヘルプデスクに問い合わせてくる従業員が多く、IT部門は雑務に追われている
- IT部門の人員は常に人手不足。消化不良のタスクが多数残ってしまっている
- 経営層からのトップダウンで社内システムに変更を加えられることが多い
- シャドーITが蔓延しており、自社で利用されているシステムの全容が見えない
セキュリティの運用課題
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