論争に割って入って仲裁することが好きなプロジェクトマネージャーなど存在しないが、実際には、プロジェクトチームの個人間の意見の食い違いが発端となって、仲裁が必要な状況になることもある。
ITキャリアの最初の頃、筆者の携わっていたプロジェクトのマネージャーは、ITディレクターにたびたび報告を行っていた。その内容は、私たちのプロジェクトは予定通り進んでおり、タスクも順調に完了している、というものだった。実際には、コードの記述は進んでいたものの、エンドユーザーはアプリケーションに満足していなかった。エンドユーザーの支持という観点から見ると、そのプロジェクトはプロジェクトマネージャーの言うような完成には程遠かった。
プロジェクトマネージャーがプロジェクトの完成度合いについて、ITディレクターを欺こうとしていたとは思わないが、IT部門が作り出しているものとエンドユーザーが欲しているものの間に重大な食い違いが存在することを彼は見逃していたと思う。このとき、彼はプロジェクトの仲裁者になって、これらの問題の解決に努めるべきだったが、その役目を果たせなかった。
残り本文:約1661文字 ログインして続きを読んでください。