フラッシュストレージは、集積度の向上にともない、急激に容量単価が下がってきています。フラッシュとハードディスクのどちらも搭載したハイブリッドストレージであれば、ある程度価格もこなれてきたため一般的な企業IT用途として積極的に取り入れても問題ないといえるでしょう。
とは言いつつも、今日現在はオールフラッシュストレージの価格は、エントリーモデルを除けばまだまだ高いため、今までのストレージ用途をすべて置き換えられるわけではありません。では、どのような用途向けにオールフラッシュストレージを検討するのが良いかを整理してみましょう。
フラッシュはディスク(プラッタ)を使っていないため、磁気ヘッドによるディスクアクセス時間がありません。以前だとスピンドル数を増やして複数のディスクを同時にアクセスさせて性能を向上させていたようなことが、フラッシュでは必要なくなります。
また、アプリケーションのチューニングによって性能を引き出すアプローチもありましたが、これもフラッシュではほとんど考慮せずに性能を向上させることができます。
このような1秒あたりの読み書き(In/Out per Second:IOPS)の高さを重視したアプリケーション、例えば技術計算などのHPC(High Performance Computing)はもちろんのこと、OracleやSQLサーバに代表されるデータベース、SAPに代表される統合基幹業務システム(ERP)などに対してオールフラッシュストレージを採用すると、処理時間の短縮を大いに期待できます。そこで開発期間の縮小や顧客サービスの向上につなげることができます。
また、瞬間的に高いIOPSが必要になるようなシステム、例えばウェブアプリケーションによるネット販売などは、販売開始時にアクセスが集中することがあります。その瞬間の処理能力を考慮しておかなければなりません。
また、大規模な仮想デスクトップ環境において、出勤時の一斉ブートに掛かる負荷は、その他の業務時間中のものとは比べ物にならないほど高くなります。これらのような、普段のシステム処理能力とは別の突発的な処理がともなう環境の場合にオールフラッシュストレージを検討するのも良いでしょう。
仮想デスクトップやサーバ仮想化、クラウドなどの仮想化環境にもフラッシュストレージは有効です。仮想化環境とは、複数のアプリケーションやワークロードが同時に稼働することを意味します。かつての物理環境では、1台のサーバに1つのアプリケーション、1台のストレージという組み合わせで、アプリケーションの負荷やIOの性質を考慮してハードウェアを選択していました。
ところが、仮想化環境になったとたんに、複数のアプリケーションを一度に処理することになり、これまでの選択方法が成り立たなくなります。このような環境では、いくらフラッシュストレージを選択したとしても処理しきれなくなり、遅延が発生する可能性があります。
そこで、ヴイエムウェアではストレージを仮想化環境で効果的に使うことができるソフトウェアを提供しています。ここでは、サーバ内蔵型ストレージを仮想環境で効率良く使えるようにするVSAN(VMware Virtual SAN)と、外部接続型ストレージで仮想マシンの細かい設定ができるようになるVVOL(VMware Virtual Volumes)をご紹介します。
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